eコラム「北斗七星」
- 2014.12.18
- 情勢/社会
公明新聞:2014年12月18日(木)付
16日の夜。分刻みで続報が飛び込んでくるたびに、犠牲になった子どもたちの人数が増えていった。パキスタン北西部にある学校を武装勢力が襲った。あまりに独善的な犯行グループの行為に、激しい憤りを禁じ得ない◆2012年10月9日、全ての子どもたちが良質な教育を受けられるようにと、果敢に立ち上がった当時15歳のマララ・ユスフザイさんらに瀕死の重傷を負わせたのも、同じ勢力である◆マララさんが育ったパキスタンのスワトは数年前まで風光明媚な観光地だったという。今はテロの舞台と化している。数百もの学校が破壊され、女子生徒が学校に行くことは禁じられた◆「私には二つの選択肢がありました。一つ目は、沈黙したまま殺されるのを待つこと。二つ目は、声を上げて殺されること。私は後者を選びました」。10日のノーベル平和賞受賞演説で、マララさんはこう述べた。そして、「彼らの銃弾は勝てませんでした」と、2年前に自身を襲った事件を振り返り、ゆがんだテロ思想を真正面から喝破した◆「純真な子どもが戦争で命を落とすのは、もう終わりにしましょう」「終わりにすることを始めましょう」。信じたくもない現実が突きつけられた今、マララさんの命の叫びに、世界の良識は誠実に、そして速やかに応えなければならない。(広)