e衆院選と今後 識者に聞く
- 2014.12.19
- 情勢/解説
公明新聞:2014年12月19日(金)付
政策研究大学院大学教授 飯尾 潤 氏
政権の実績、国民は信任
合意形成へ公明は与野党の懸け橋に
―選挙結果をどう見るか。
飯尾潤・政策研究大学院大学教授 今回は2年間の安倍政権の実績が問われた選挙だった。低投票率は残念だったが、棄権も含めて政権選択であるので、有権者は政権の枠組みとして自民、公明両党を選んだといえる。前回は、与党だった民主党への批判などによって自公両党が大勝したが、今回は自前の勝利だ。議席減の予想もあったが、前回並みの議席数を得たのは健闘だろう。国民の信任を得たことは間違いない。
―重要政策課題に対する議論が深まらなかったとの指摘もあるが。
飯尾 政府の政策は、安倍晋三首相から発信され、与党が首相の政策を部分修正するか、追認するだけにとどまっている面がある。政権を維持していくのは当然だが、政策について与党が積極的に検討し、国民と対話しながら練り上げる努力をしてもらいたい。
今回は与党の政策に対し、野党が明確な案を示しきれなかった。つまり他に比べる政策がないから与党が選ばれたともいえる。国民に信任されたのは間違いないが、与党は議席数におごってはいけない。
一方、公明党は今回の選挙で「軽減税率の導入」を強く主張していた。加えてなぜ消費税増税が必要なのかという根本の部分をもっと訴えてほしかった。年明け以降、安全保障に関する法案も提出されるが、出来上がった原案に注文を付けるだけでなく、法案作成の段階で公明党の考え方をしっかり反映させる努力も必要だろう。
―野党への支持は伸びなかった。
飯尾 今回の選挙の投票率が低調だった責任の半分以上は野党にある。とりわけ政権を一度担ったことがある民主党が、明確な対立軸を示すこともできなかった。自らの政権時代の反省も、多くの国民は納得していない。有権者に政権の選択肢となり得る軸を示せるかどうか、それが一番の課題だ。
―「自民一強」と指摘される中で、公明党が与党で果たす役割は。
飯尾 憲法や原発・エネルギー問題などで、公明党は与野党の懸け橋になってもらいたい。特にこれらの問題は、極端な議論が多い。与党間の合意はもちろん、与野党の枠を超えて国民の"相場観"を探ることも、足腰が強い公明党なら可能だ。また沖縄の基地問題についても、公明党なら自らの党勢拡大とは関係ない立場で合意形成に貢献できるはずだ。
そして何より、公明党は結党当時から"忘れられた人"を大切にする政党であるはずだ。これからも「自分たちの声は届かない」と嘆く人に寄り添い、手を差し伸べる姿勢を大切にしてほしい。