e地球温暖化対策 重要な「緑の気候基金」の拡充

  • 2014.12.19
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年12月19日(金)付



地球温暖化対策は待ったなしの課題である。


世界気象機関の発表によると、今年の世界平均気温は観測史上で最も高くなる見通しだ。海面水温が非常に高かったことで、6~9月のロシアや欧州、アジア各国で大雨や洪水が相次いだ一方、中国東北部や米国、ブラジルでは深刻な干ばつが発生した。地球温暖化がもたらす悪影響は、現状を放置すればさらに深刻化する。人類共通の課題として、あらゆる有効な対策を打ち出さねばならない。


新興国の地球温暖化対策を資金的に支援することを目的に、2010年に国連会議で創設された「緑の気候基金」を拡充するよう日本から各国に働き掛ける必要があるのではないか。安倍首相は、今年11月の20カ国・地域(G20)首脳会議で、国会の承認を得て、約1800億円の資金を基金に拠出する意向を示した。


東日本大震災以降、火力発電の稼働に伴う温室効果ガスが徐々に増え、日本の温暖化対策の遅れを懸念する声がある。基金拡充を望む声は以前からあり、日本の呼び掛けは、世界の温暖化対策を重視するわが国の基本的姿勢をアピールすると同時に、世界の環境政策を再びリードする契機にもなろう。


地球温暖化対策は、先進国と新興国が協力して取り組むべきだ。経済成長を背景に、新興国から排出される温室効果ガスの排出量は先進国以上に増えているが、「温暖化対策の実施は経済成長を犠牲にする」との誤った考え方が根強く、対策に積極的ではない新興国も少なくない。


先進国として基金を活用して新興国の対策への負担感を軽減し、太陽光や風力など再生可能エネルギー(再エネ)の活用や、省エネルギー(省エネ)のための技術開発が新たな経済発展につながる仕組みの構築を後押しすべきだ。


温室効果ガスの二大排出国であり、対策が遅れ気味だった米国と中国が環境問題の改善に意欲的な考えを見せ始めている。世界で最も成長が見込まれる環境市場で、環境政策への取り組みを深めることは国内経済の活性化の面でも無視できないからだ。


環境立国を掲げる日本として、温暖化対策を強力に進めていきたい。

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ