e「出生率1.8」へ ビジョン
- 2014.12.22
- 情勢/社会
公明新聞:2014年12月20日(土)付
結婚や子育て 若者の希望実現が前提
人口減少の克服や地方創生に向けた政府の長期ビジョン原案の全容が19日、明らかになった。若い世代の結婚や子育ての希望が実現すれば、1人の女性が生涯に産む子どもの数の推計を示す合計特殊出生率が1.8に向上することが見込まれると指摘。政府が目標に掲げる「2060年に人口1億人程度の維持」のため、この実現を「まず目指すべき」と明記した。
長期ビジョンは今後5年間の総合戦略と共に、27日にも閣議決定する。
原案は、このまま人口減少が進めば経済規模の縮小や生活水準の低下を招き、「極めて厳しく困難な未来が待ち受けている」と警鐘を鳴らした。60年の総人口について、現状のままでは約8700万人に落ち込むと予想されているが、出生率が13年の1.43から30年に1.8に改善し、40年に2.07まで回復すれば、1億人程度を維持できるとの展望を示した。
その上で、将来的に2.07に回復することが「人口の規模や構造が安定する上で必須の条件」と説明。人口動態が安定化し、企業の生産性が向上すれば、50年後の実質GDP成長率は1.5%~2%程度を確保できると見込んだ。
ただ出生率に関して、具体的な数値を示したものの、「結婚や出産はあくまでも個人の自由な決定に基づくもの」と付け加え、国として結婚や出産を強制する考えがない姿勢も示した。
また、地方から東京への若者の流出が日本全体の人口減少に拍車を掛けているとして、「東京圏の人口集中の是正は国家的な課題」と強調。地方での若者の定着や移住促進などに取り組むことで、高齢化が進む地方の人口構造の「若返り」が必要だとしている。
一方、原案は、人口減少の克服には「次元の異なる施策を大胆に実施し、改革を実現しても長い時間を要する」と、息の長い取り組みを求めた。(時事)