e北朝鮮の国連人権決議 「人道への罪」に国際圧力を

  • 2014.12.24
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年12月23日(火)付



北朝鮮が、また国際社会から指弾を受けた。


国連総会は18日の本会議で、北朝鮮の深刻な人権侵害を非難し、国際刑事裁判所(ICC)への付託を求める決議案を賛成多数で採択した。


ICC付託や責任者への制裁に言及したのは今回が初めてだ。従来の決議に比べて厳しい内容となったが、共同提案国は過去最多の62カ国に上っており、各国が結束して意思表明した意義は大きい。


決議では、拷問や政治犯収容所の存在、拉致といった人権侵害に極めて深刻な懸念を示した。その上で、そうした「人道に対する罪」が最高指導部の方針に基づくものだと認めている。また、拉致問題では、被害者らの情報提供や帰国など、具体的な取り組みも勧告した。


これに対し、北朝鮮側は、強く反発し、対抗措置として核兵器を含む国防力強化を進める意向を表明。同国の核放棄が盛り込まれた6カ国協議共同声明を白紙とみなす見解を示している。


絶対に容認しがたい身勝手な振る舞いだ。


国連安全保障理事会は、きょう23日未明、北朝鮮の人権問題に関する初の公式会合を開く。一部の国の反対によって、ICCへの付託がなされるかどうかは不透明だが、北朝鮮に向けられる各国の視線は厳しさを増している。会合は公開で行われる予定で、関係国の監視の下、北朝鮮に対する圧力は一層強められる見通しだ。


拉致問題について、北朝鮮は5月、再調査を行うことで日本と合意した。しかし、その進展状況を確認するため11月に訪朝した日本政府代表団は、実質的な成果を得られなかった。北朝鮮が、どこまで真剣に取り組んでいるのか懐疑的にならざるを得ず、政府は、人権非難決議という国際世論の後押しを背景に、厳しい姿勢で問題の解決に当たってほしい。


人権問題以外でも、米国での北朝鮮のサイバー攻撃などに対する各国の懸念は強い。北朝鮮の振る舞いをただす国際社会の機運が高まっている今、政府は、関係国と緊密に連携し、核や拉致などの解決に向けた具体的な北朝鮮の行動を促す、粘り強い取り組みを強化してもらいたい。

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