eメタンハイドレート 実用化へ調査、研究を加速せよ

  • 2015.01.05
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年12月29日(月)付



次世代燃料として注目される国産エネルギー資源「メタンハイドレート」実用化への取り組みを加速させたい。

経済産業省は先週、天然ガスの主成分メタンと水が結合したメタンハイドレートの埋蔵量調査の結果を発表した。今年度の政府調査では、新潟県上越沖などで、メタンハイドレートが存在するとみられる地形が746カ所ほど確認されたほか、日本海側で初めてメタンハイドレートを含む地質サンプルを採取した。

注目したいのは、今回の調査対象が、砂や泥が混ざり、回収が難しい地下深くの「砂層型」ではなく、海底の表面などに結晶状態で現れる「表層型」である点だ。メタンハイドレートの実用化は、費用や技術面の課題が指摘されるが、表層型なら生産コストは比較的低く抑えられ、採算性があるとみられる。

今回の結果を受けて、経産省は来年度、調査地点を拡大する方針を示した。表層型が多いとされる日本海側の埋蔵量確認作業が進めば、実用化の現実味は格段に高まる。

また、日米両国は11月、米アラスカ州で共同研究を行うことを決めた。日本側は、海底よりメタンハイドレートを採掘しやすい永久凍土で技術を確立し、国内で応用する考えだ。メタンハイドレートの開発は、自公連立政権が成長戦略に掲げ、2018年に商業化技術の確立をめざす重要課題だ。研究開発を急ぐために、技術力のある国々との連携を今後も深めてほしい。

東京電力福島第1原発の事故後、国内では火力発電の需要が高まり、液化天然ガスの輸入量が急増した。パイプライン網が整う欧州と違い、日本への天然ガス輸送は、冷却して液化するコストがかかるため割高になり、多額の購入資金を支払っている。しかし、日本近海には、国内の天然ガス需要の100年分を賄えるメタンハイドレートがあるとみられ、実用化できれば、エネルギー自給率の低い日本にとって大きな朗報となる。

最近の米国経済に好影響を与えたシェールガスの開発も、研究が始まったのは1970年代といわれる。多くの課題を乗り越えて花開いた。日本も、官民の取り組みでメタンハイドレートの開発・実用化を急いでほしい。

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