e新春対談 負けない心で前へ!

  • 2015.01.05
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年1月1日(木)付

 

 

楽しては強くなれない 元大関・琴風 尾車親方

統一選勝利し基盤築く 公明党代表 山口那津男

 

 

あけましておめでとうございます。年の始めにお届けするのは、「史上最強の大関」元琴風の尾車親方こと尾車浩一さんと、公明党・山口那津男代表の対談です。親方は2012年に大けがを負いながらもカムバック、大きな共感を呼んでいます。テーマは「負けない心で前へ」。互いの共通点で意気投合、未来志向の語らいは大いに弾みました。

 

 

感謝そして恩返し

 

 

山口代表 親方は巡業中の転倒事故で頸椎捻挫の重傷を負い、一時は全身まひとなりながらも、奇跡的に職場復帰を果たされました。その復活劇はテレビでも放映され、大きな反響を呼びました。

尾車親方 妻や家族をはじめ、多くの人の支えに感謝しています。弟子たちも手術直後の私の誕生日に、デジタルフォトフレームを贈ってくれ、「早く帰って来てください」とのメッセージには胸が熱くなりました。当時、首から下の自由は利きませんでしたが、脳から手足に"動け! 動け!"と信号が送られるように強い気持ちで念じ、「何が何でも部屋に帰る!」と自身を奮い起こしてはリハビリに励みました。

山口 親方は「人生8勝7敗 最後に勝てばよい」との本を出されています。実は私も"7敗"しているんです。大学受験で1年浪人し、司法試験で4回の不合格。衆院では二度の落選も経験し、死に物狂いで支援してくださった方々に申し訳ない気持ちでした。その後、参院で戦う土俵を与えていただき、恩返しのために必死で働いています。

尾車 私は相撲の世界で"生き方"を学びました。たとえ7敗しても、8勝すれば番付は上がる。負けて泣いてる場合じゃない。泣いた数より一つでも多く笑って千秋楽を飾ろう―。現役時代はそんな気持ちで土俵に上がっていました。

山口 私もファンとして、親方の一生懸命で前向きな相撲に声援を送っていました。ところで親方は今、"完全復活"に向けてリハビリに励んでいますね。

尾車 まだ思うように体が動かず大変ですが、早く自分一人で何でもできるようになりたいと努力しています。稽古場では弟子に「楽して強くなれるか!」と叱咤することがあります。実はそうやって、自分自身を鼓舞しているんです。

山口 度重なる挫折と復活を経験した親方の姿は、弟子の皆さんの大きな支えになっているでしょうね。昨年、公明党は結党から50年を迎えました。それは支持者の皆さまの真心と汗と涙が積み重なった歴史です。命懸けで党を支えてくださっている方々を思うと、いい加減な気持ちで議員活動などできません。

尾車 自分の生き様を包み隠さず見せ、弟子たちがどう感じてくれるか。今、私ができることはそれしかありません。弟子たちも私の姿を見て、「いい相撲をとって親方を喜ばそう」という気持ちで稽古に励んでいます。面と向かって礼など言いませんが、やっぱりうれしいですね。

みずから範を示す

 

 

山口 相撲は「心技体」というように、技だけでなく心を鍛え、人間を育てるものだと感じます。部屋を興して27年の親方は、苦労の連続だったことでしょう。

尾車 今も弟子の育成は試行錯誤の連続です。みんなが十両以上の関取になれるわけではありません。かえってなれない方が圧倒的に多い。みんなを関取にしたい思いは当然です。その上で、あいさつや言葉遣い、礼儀を教え、仮に関取になれなくても一生を棒に振ることがないよう育てていくことが私の信念です。

山口 私も新人議員の時は、先輩から「議員の価値は質問で決まる」と教えられ、猛勉強をして"ぶつかり稽古"で鍛えていただきました。最近の衆参の選挙では、大きな可能性を持つ若手議員が誕生しました。

尾車 若い子を一人前にすることは大変です。時には、「LINE」で絵文字が付いてくることもあります(笑)。稽古場は厳しく、稽古が終われば後輩は先輩を敬い、先輩は後輩を育てる―家族のような部屋をつくることが目標です。

山口 「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」との先人の言葉があります。私たちが模範を示し、教えて、チャンスを与え伸ばしていくことが大切です。「大衆とともに」との公明党の立党精神は不変ですが、その時代に応じた活動の中に現れてこなければ、本物の「大衆とともに」にはなりません。公明党の議員は常に現場の息遣いを大切にする一人一人でありたいと思います。

尾車 相撲界は全国のファンに支えていただいていますが、毎年夏の巡業で行く東北の皆さんにも本当にお世話になっています。その感謝の思いで、昨年8月には、福島県いわき市で復興祈願の横綱の土俵入りを行いました。土俵入りは昔から「大地を鎮める」と言われています。被災者の皆さんの笑顔を見ると、やってよかったなと思います。

山口 公明党も、被災者の心のひだにまで寄り添い、「人間の復興」を成し遂げていく決意です。昨年、公明党は結党50年の緒戦を衆院選の勝利で飾ることができました。今年4月の統一地方選も必ず勝利し、確実な党の基盤を築かねばなりません。今年の干支であるひつじは、自らの毛が衣類などに活用されるように、われわれも身を削り人々を温かくする政策を実現してまいります。親方もお体を大事に、ますます相撲界を盛り上げてください。

尾車 ありがとうございます。弟子には勝ち負けの前に、ファンの皆さんがいい相撲だったなと喜んでもらえる相撲を一番でも多く取ってほしい。私も人様のお役に立てる体になるよう自身の成長に向けて、歯を食いしばって挑戦を続けていきます。

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