e手記 ウズベク選挙監視団に参加して
- 2015.01.06
- 情勢/国際
公明新聞:2015年1月6日(火)付
党国際局長 遠山清彦衆院議員
政策論争に今後の課題
昨年12月21日、ウズベキスタン共和国で下院選挙が実施された。私は同国政府の招待で日本から派遣された選挙監視団(官民合同で13人)に、日本ウズベキスタン友好議員連盟の代表の一人として参加した。
ウズベキスタンの国土面積は日本の1.2倍、人口は約2900万人で、世界最大規模の綿花生産量を誇り、天然ガスなどのエネルギー資源も豊富な中央アジア地域における主要国である。旧ソ連邦の崩壊後、1991年に独立。カリモフ大統領の安定的な政権運営の下、議会選挙ごとに民主化努力を続けている。
下院選挙の投票日、私たちは選挙監視活動の一環で首都タシケント市内の複数の投票所を視察した。混乱は一切なく、各政党の立会人もおり、投票手続き自体は先進諸国と比較しても遜色ないと言える。各投票所には臨時の託児所や医務室が設置され、子どもや高齢者にも配慮していた。
唯一気になったのは、選挙戦全体が日本などと比べると「静か」過ぎることだった。外国語情報が少なく正確な評価が難しいが、同様に選挙監視を行っていた欧州安保協力機構(OSCE)民主制度・人権事務所は選挙後、「真の競争と論争を欠いていた」と批判的なコメントを出しており、投票手続きよりも選挙における政策論争の中身が今後の課題かもしれない。
確かにウズベキスタンでは、これまで議員を輩出している4政党全てが「与党」というのが実態であり、その意味で行政府に対するチェック機能が弱いことは事実だ。ただし、投票日前日に会談したジュラバエフ下院情報通信委員長は、選挙後の下院には内閣不信任権が初めて付与され、野党勢力も誕生する見込みであると説明しており、徐々にではあるが改善が図られていると感じた。
滞在中、友好議連事務局長の塚田一郎参院議員(自民党)と共に、ジュラバエフ氏に加え、アブドゥアキモフ労働社会保障大臣、サファエフ上院外交委員長(元外相)、アジモフ第一副首相兼財務相など、ウズベキスタン政府要人と会談した。非常に親日的であり、両国の友好関係のさらなる強化へ双方で努力を重ねることを合意した。
ウズベキスタンは初訪問だったが、治安の良さ、街の清潔さ、文化芸術を深く愛する国民性、大国の思惑に流されず独自の平和外交を貫く姿勢、ティモール王朝発祥の地ならではの文化遺産の豊富さなどに深い感銘を受けた。多くの大学生が日本語を真剣に学ぶ姿にも接した。
中央アジア全体は多くの困難な課題を有する地域だが、日本としてウズベキスタンとの戦略的なパートナーシップを強化する中で、諸課題の解決に貢献できると確信した。公明党の議員外交努力も、さらに強化していきたい。