e震災5年目へ 本格復興を実感できる1年に
- 2015.01.09
- 情勢/解説
公明新聞:2015年1月9日(金)付
今年2015年は東日本大震災から5年目という節目の年となる。「集中復興期間」(11~15年度)の最終年度も迎える。まさに待ったなし。被災地再生への取り組みを一段と加速させ、本格復興を実感できる1年としなければならない。その先頭に公明党が立つことを、まずは約束しておきたい。
年末、被災3県を歩いた。
岩手県陸前高田市では、空中に延びる延長約3キロの巨大ベルトコンベアが大量の工事用土砂を次々と運んでいく光景に圧倒された。「新しい街づくりを実感させてくれる世界最長のコンベアだよ」。誇らしげに語る作業員の表情に復興の手応えが滲んでいた。
宮城県女川町の高台に立つ「女川いのちの石碑」の前では、昨年春に地元中学校を巣立っていった若アユたちと再会できた。一段と逞しく成長していた彼ら彼女らこそが、「1000年後の命を守るために」と建てられたこの石碑の発案者。完成間近い新JR女川駅舎を見下ろしながら、「町内全21集落に碑が建ち揃うまで僕らの活動は続く」と口々に語る姿が眩しかった。
原発事故の後遺症が今も色濃く残る福島県浜通り地域にも、少しずつだが復興の足掛かりが芽生え始めていた。太田昭宏国土交通相のリーダーシップで国道6号などの道路網が前倒しで整備されたことが大きいようだ。「3月には常磐自動車道も全線開通し、首都圏がぐっと近づく。交流が進めば風評被害も落ち着くべ」。除染活動に汗を流す作業員の顔に笑みが漏れた。
発災からまもなく4年。年末の取材行は、被災地に"復興の春"が確実に訪れつつあることを実感させてくれた。
ただ、被災3県の避難者は今なお23万人余を数える。その大半の人たちが老朽化著しい仮設住宅や異郷の地で"4度目の正月"を迎えたことを思うと、胸は痛み、やるせなさが募る。復興はなお道半ばであるという現実から目を背けるわけにはいかない。
本格復興へ正念場の1年。災害公営住宅の整備から被災者の心のケア、風化、風評、除染、賠償などに至るまで、国は全ての課題についてもう一段、対策を強化し、大胆かつキメ細かな取り組みを被災地の隅々で展開してほしい。