e仏週刊紙銃撃 テロ行為は断じて許されない
- 2015.01.13
- 情勢/解説
公明新聞:2015年1月10日(土)付
政治家や聖職者など、あらゆる権威・権力を風刺することで知られるフランスの週刊紙「シャルリー・エブド」のパリの本社が、武装した2人組の男に銃撃され、同紙の編集長や風刺画家ら12人が殺害されるという残忍な事件が起きた。
実行犯はパリ出身のイスラム教徒で、国際テロ組織アルカイダやイスラム過激派組織「イスラム国」などと関係しているとみられている。同紙がイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を掲載していたことに反発したテロ行為であるとの見方が有力である。
偶像崇拝を徹底して禁じているイスラム教徒にとって、預言者ムハンマドの風刺画は許容できないという感情は理解できるが、だからといってテロは断じて許されない。国際社会は一致団結して、テロ根絶に向けた取り組みを一層強化していくことが重要だ。
2009年に米国務省イスラム世界担当特別代表を務めたファラー・パンディス氏は「表現の自由への攻撃ともいわれる今回のようなテロは、これからも引き続き起こるだろう」と警告し、「こうしたテロをなくしていくには、世界各国の若者が過激派に勧誘されないよう、対策を講じることだ」と指摘する。
特に「イスラム国」はインターネットを駆使し、戦闘員の勧誘を活発に行っている。欧米諸国からも数千人の若者が「イスラム国」に参加しているといわれている。人口の約1割に当たる600万人のイスラム系住民が居住するフランスからの参加者が最も多いという。日本からも、北海道大学の大学生が「イスラム国」に参加しようとしていたことがあり、人ごとではない。イスラム過激派のインターネットサイトの閉鎖や関係者の取り締まりなどを粘り強く実施していく必要がある。
今回のテロをイスラム諸国は一斉に非難している。エジプトの首都カイロにあるイスラム教スンニ派の最高権威機関であるアズハルも「イスラム教は、あらゆる暴力を非難する」との声明を出した。イスラム教指導者層が発信するこうしたメッセージこそ、イスラム教徒の真の声として広く周知させていき、過激派の誘惑の声をかき消さなければならない。