e2015年度予算案の概要
- 2015.01.15
- 情勢/社会
公明新聞:2015年1月15日(木)付
14日、閣議決定された政府の2015年度予算案は、地方創生を柱にした経済再生と財政再建の両立をめざしている。ここでは、予算案の概要を紹介する。
所得税収14年ぶり高水準
企業業績改善、賃上げを反映
2015年度の一般会計税収では、所得税が14年度当初比11.2%増の16兆4420億円となる見通しだ。好調な企業業績を受けた賃上げによる所得増加で、01年度(決算段階で17兆8065億円)以来、14年ぶりの高水準を見込む。
税収総額は14年度当初比9.0%増の54兆5250億円と、1991年度(同59兆8204億円)以来、24年ぶりの高い水準だ。
法人税では、成長戦略の一環として法人実効税率を引き下げるものの、企業業績の改善が追い風となり、9.7%増の10兆9900億円と伸びる。
消費税も11.6%増の17兆1120億円と、税目別で最も多額となる。決算期の違いにより、14年度は消費税の一部を税率5%で納めた企業もあったのに対し、15年度は8%にそろうためだ。
今月から課税対象が拡大された相続税も14.0%増の1兆7610億円となる。
一方、酒税は2.5%減の1兆3080億円、たばこ税は1.7%減の9060億円と、それぞれ需要減を背景にマイナスを見込む。
地方創生に1兆円確保
一般財源も過去最高規模に
地方財政関係では、自治体の予算編成の指針となる15年度の「地方財政計画」に地方創生のための経費1兆円を計上し、人口減少や少子化の対策に手厚く財源が配分されるようにした。また、財務省が廃止を主張し、存続を訴える自治体側と対立していた地方交付税の上乗せ措置「別枠加算」も一定額を確保。地方への配慮を強くにじませる内容となった。
地方創生の1兆円のうち、5000億円は既存の歳出をやり繰りして賄ったが、残りの5000億円は新規に財源を調達して上積みした。「別枠加算」は2300億円を確保。交付税や地方税など地方が自由に使える一般財源総額は、過去最高の61兆5000億円に増やした。
地方の経済が元気になれば税収が上がり、結果的に財政再建に資すると期待される。
中小企業を後押し
産学官連携、円安対策など
15年度予算には、日本経済を支える中小企業の競争力を高めるため、新しい施策が盛り込まれた。大学など研究機関と連携して技術開発に取り組む中小メーカーへの補助事業を拡充し、中小サービス業についても産学官連携を後押しする事業を始める。合計で約139億円を計上した。
商工団体による経営助言の強化など、中小企業の中でも従業員の少ない業者に特化した支援には46億円余を配分。中小企業の海外販路開拓支援も盛り込んだ。
円安による原材料費の高騰で企業経営が圧迫されている現状を踏まえ、資金繰り支援を強化。消費税増税分について、取引上の立場が弱い下請け業者が納入価格に転嫁できているかどうか、状況を監視する活動も続ける。
畜産・酪農の強化へ
農地バンクや輸出促進も
農業分野では、海外産との競争激化が予想される畜産・酪農の強化へ予算を重点配分する。新規事業としては、各地の中心的な農家を対象に生産施設の整備を支援する「畜産収益力強化対策」に75億円を盛り込んだ。
耕作放棄地や飛び地になっている農地を所有者から借り受け、農業法人などに貸し付ける農地中間管理機構(農地集積バンク)についても、予算面で後押しする。農地集積バンクの事業推進に190億円を充てるほか、田畑の大区画化工事などを機動的に実施するため「農地耕作条件改善事業」を新設し、公共事業費の枠外で100億円を計上した。
食品・農林水産物の輸出促進や国産木材の需要拡大策にも予算を積み増す。
福島の復興支援で新交付金の創設へ
東日本大震災からの復興に向け、東京電力福島第1原発事故の被害を受けた福島への支援を強化する。住民の早期帰還や定住を促すため、復興拠点の整備に広く活用できる交付金を新設。長期避難者の生活支援を目的に13年度に創設した「福島再生加速化交付金」として1056億円を確保し、同交付金の一部として設ける。
新交付金は、拠点整備に伴う住宅や商業地の用地買収、道路などのインフラ整備に使えるのが特徴。復興関連予算の総額は約3兆9000億円で前年度から約2600億円増やした。