e経済、地方創生に重点 15年度予算案のポイント
- 2015.01.16
- 情勢/社会
公明新聞:2015年1月16日(金)付
社会保障さらに充実
財政再建も前進、目標達成へ
石井政調会長に聞く
政府は14日、2015年度予算案を決定しました。そのポイントについて、公明党の石井啓一政務調査会長に聞きました。
―15年度予算案の特徴は。
石井啓一政務調査会長 昨年末の衆院選で掲げた経済再生や地方創生への取り組みを強化する内容になりました。今月9日に閣議決定された14年度補正予算案の執行と併せ、景気回復の流れが地方、中小企業、家計へ行き届くよう経済再生に総力を挙げていく決意です。
同時に、先進国で最悪の水準にある、わが国の財政を健全化しなくてはなりません。このため、15年度予算案は経済再生と財政健全化の"二兎を追う"ことが狙いです。
―地方創生に向けた具体策は。
石井 公明党の「"活気ある温かな地域づくり"をめざして」と題した提言の多くが盛り込まれました。
重要なことは、若者が地方で定住できる環境の整備や、地方から東京圏に毎年約10万人もの人が移る現状を改めることです。
それには地方で仕事をつくり、生活ができるようにしなければなりません。この観点から、15年度予算案には新規就農・就業者への支援などを盛り込みました。
また、地域の活力向上へ、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえ、出生率を引き上げるのも公明党の主張が反映された項目です。
地方創生では、地方独自の取り組みが求められていることから、地域の実情に応じた、きめ細かな政策が講じられるよう、自治体の予算編成の指針「地方財政計画」に地方創生に向けた経費として1兆円を計上しました。
―社会保障制度改革はどうなりますか。
石井 大きく前進したと感じています。社会保障の充実として、国と地方を合わせ、14年度当初比で8658億円増の1兆3620億円を確保しました。
例えば、財源となる消費税の税率10%への引き上げが1年半延期されても、待機児童解消へ保育施設の受け皿を増やすことなどを盛り込んだ「子ども・子育て支援新制度」を4月からスタートし、女性の活躍などを後押しできるのは大きな成果です。
1月から始まった「高額療養費制度」(個人の医療費の自己負担に上限を設ける制度)改善のための予算を確保し、中低所得者の負担を軽くするとともに、医療費助成の対象が56疾患だった難病対策を拡充し、今夏には対象を300疾患まで拡大する方針です。
介護人材を確保するための給与増といった処遇改善や、社会問題にもなっている認知症対策も強力に進めます。
―このほか、公明党の主張が反映された項目は。
石井 15年度は、東日本大震災の集中復興期間の最終年度に当たることを考慮し、14年度当初予算を上回る額を確保しました。
目に見える形で被災地の復興をさらに加速させていきます。
消費税率引き上げ延期に伴う「簡素な給付措置(臨時福祉給付金)」の継続に加え、「子育て世帯臨時特例給付金」を継続させたのも公明党の主張が実を結んだものです。
―財政健全化への取り組みも急務です。
石井 消費税率10%への引き上げを前提としていた財政健全化目標を達成する見込みとなりました。15年度は、景気回復に伴う税収増で、政策経費を国債に頼らずにどれだけ賄えるかを示す基礎的財政収支の赤字額が対国内総生産(GDP)比で10年度から半減する見通しです。当初予算で新規国債発行額が30兆円台、歳入全体に占める国債発行額の割合を示す公債依存度が30%台になるのは、6年ぶりです。