e災害被災者の支援 無料法律相談の制度化が必要

  • 2015.01.19
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年1月19日(月)付




法律問題に悩む国民にとって、司法への身近な窓口となっている日本司法支援センター(法テラス)の拡充が政府内で議論されている。テーマの一つが、大規模災害の被災者に対する司法サービスの向上である。


今は資力の乏しい人に利用が限られている、(1)無料の法律相談(2)裁判での弁護士費用などを立て替える民事法律扶助―の両制度を被災者も利用できるようにする。


現在、東日本大震災の被災者には震災特例法によって、このサービスが実現している。しかし、3年間の時限立法であり今年3月に終わる。法テラスの業務を定める総合法律支援法を改正し、大規模災害被害者のための恒久的な司法サービスとして確立する必要がある。


公明党は昨年6月、法相への提言で大規模災害の被災者への法的支援の強化を訴えた。まもなく召集される通常国会でぜひ実現させたい。


「会社が被災し自宅待機になった。退職しなくても失業給付はもらえるか」「仮設住宅に住んでいるが、原発事故の避難地域にある自宅の住宅ローンの返済は続くのか」「両親を失った子どもは誰が監護養育するのか」


被災直後から、こうした切実な法律問題が襲ってきた。被災者にとって法律問題の解決なくして復興はない。


東日本大震災(2011年3月)で仮設住宅に入居した人を対象に、法テラスが同年11~12月に実施した「被災者への法的支援に関するニーズ調査」によると、震災後に法律問題を「経験した」人は約40%にとどまった。しかし後日、「経験していない」と回答した人へのヒアリングによって、法律問題の存在が明らかになった例も多い。法テラスは、「被災者の多くが自ら抱える問題を『法律問題である』と認識しえていないことをうかがわせる」と分析した。


法務省の法テラスに関する有識者検討会議は、昨年6月の報告書で「潜在化しがちな法律問題を顕在化させ解決に導くことが、その地域の災害からの復旧・復興を促進する上で重要」と訴えた。


被災者に寄り添って「何が法律問題か」「どう解決すべきか」を示す法テラスは、生活再建の拠点でもある。

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ