e土砂災害の基礎調査着実に
- 2015.01.20
- 情勢/社会
公明新聞:2015年1月20日(火)付
警戒区域の指定進める
交付金に優先配分枠を創設
公明リード
国民の命を守る防災・減災対策を前へ進めるため、都道府県による土砂災害危険箇所の基礎調査を着実に実施し、警戒区域の指定を進める「基礎調査のための優先配分枠制度」が創設される。政府が14日に閣議決定した2015年度予算案に盛り込まれた「防災・安全交付金」の中で、必要経費70億円を確保。公明党の推進で昨年11月に成立した改正土砂災害防止法による土砂災害防止策の推進を下支えする。
土砂災害危険箇所の基礎調査は、過去の土砂災害履歴や地形・地質の種類、土地利用状況などを調べるもので、土砂災害警戒区域を指定するための前提になる。昨年8月に広島市北部で発生した大規模土砂災害では、発災現場のほとんどで基礎調査と警戒区域の指定が未実施だった。このため、住民に土砂災害の危険性が伝わっていなかったことが、被害拡大の原因として指摘されている。
こうした現状を踏まえ、改正土砂災害防止法では、基礎調査を実施主体である都道府県に促し、その結果を公表することを義務付ける一方、国が基礎調査の遅れている都道府県に対して是正要求を行えるようにした。
さらに、改正法に基づく今回の制度創設では、都道府県に対し、基礎調査に特化した事業計画の策定を促進。基礎調査の実施見通しを立てやすくする。
現在、土石流やがけ崩れの恐れがある土砂災害危険箇所は全国に約53万カ所あるとされているが、基礎調査が完了しているのは約38万カ所。調査が進まない背景には、自治体の予算確保が難しいことや、住民への説明に時間を要することなどがあるとされている。
公明党は、山口那津男代表らが広島市の土砂災害現場を視察し、昨年9月2日には土砂災害防止法改正検討プロジェクトチームを設置。同26日に太田昭宏国土交通相(公明党)に申し入れた土砂災害未然防止策の提言の中で、都道府県が基礎調査を迅速に実施できるよう国が財政や技術の面で支援することなどを要請し、土砂災害防止法の改正をリードした。15年度予算案の「優先配分枠制度」については、太田国交相が麻生太郎財務相との大臣折衝で強調し、創設が決定した。