e経済成長への戦略 新産業を育て、競争力の強化を

  • 2015.01.20
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年1月20日(火)付




自公連立政権の経済政策がめざすのは、家計が景気回復の恩恵を実感することだ。


日本経済はデフレの出口に向かって前進しているが、最近の過度な円安に伴う商品価格の高騰が家計の消費意欲を抑え、景気回復の足取りを重くしている。2015年度予算案は、この状況を改善し、日本再興を成功に導く鍵だ。


消費の持続的な喚起は、生活者が直面する課題に、きめ細かく対応する政策が大前提となる。個人消費を盛り上げるヒントは、地域の経済と社会を活性化する点にある。政府は、都市部の若者が地方で活動を行う「地域おこし協力隊」を拡充する。若者の新たな知恵と工夫で、観光など地域資源を生かした経済活性化が期待できよう。


日本経済の基盤である中小企業の振興策も最優先課題である。中でも、資金繰り支援を含めた経営力の強化が必要だ。関連予算に11億円を充て、事業転換などで新たな事業活動への挑戦を行う中小企業の資金繰りを「中小企業経営力強化資金制度」による低利融資策で支援する。


15年度予算案は、地方創生関連の施策が注目されるが、長期的な視点で日本の成長力を伸ばす政策メニューも多彩だ。自動車に並ぶ基幹産業への成長が期待されるロボットの研究開発には、14年度予算より3割増の総額111億円を大胆に投じる。介護現場での本格的な活用も視野に入るロボット開発は、産業の裾野の広さから高い経済効果を望めよう。


全世界で500兆円以上の医療市場で競争力を獲得するための医療機器開発は42億円を計上した。


諸外国で"親日派・知日派"を育成するための予算を盛り込んだ点も評価できる。政界や産業界で将来のリーダーと評される海外の人材を大学や研究機関などに招き、日本の若手人材と深い交流を結ぶために29億円を盛り込む。将来に希望を持てる日本経済を戦略的に構築する上で、ふさわしい施策として注目したい。


来年度予算案は、来週から始まる通常国会で審議される。暮らしに元気を呼ぶために、買い物で使える「プレミアム商品券」の発行などを実現する今年度補正予算案と併せ、早期成立を期してほしい。

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ