e消防防災ヘリ 操縦士の計画的養成進めよ

  • 2015.01.29
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年1月29日(木)付




総務省消防庁は、全国の消防防災ヘリコプターの操縦士を安定的に確保するため、今春にも学識経験者らでつくる検討会を設置する。検討会は、パイロット養成に詳しい学識経験者や自治体関係者、民間航空会社の社員らで構成し、実態把握を行いながら計画的な養成体制の構築をめざす。2015年度末までに対策を取りまとめる方針だ。


消防防災ヘリは現在、都道府県や政令指定都市などが計76機を保有し、救急・救助活動や林野火災の空中消火、災害発生時の情報収集、物資輸送などに当たっている。東日本大震災では、全国各地の消防防災ヘリが地震発生直後から出動し、津波で孤立した被災者の救出や人員・物資の輸送などで活躍した。


しかし、全国的な操縦士不足の影響で人材難に直面しており、一部の自治体では運航に支障を来している。例えば、ある県では2人しかいない操縦士のうち1人が退職したが、即戦力の操縦士を確保できず、現在1週間のうち2日間は運航できない状態に陥っている。このため同県では、やむを得ず飛行時間など採用条件を緩和して操縦士を募集したり、県内の消防士を県職員として採用し操縦士の自前養成を進めている。中には、これまで実施してきた24時間運航を維持できなくなった自治体もある。


自治体が雇用している消防防災ヘリの操縦士は、105人(14年3月1日現在)いるが、40歳代半ば~50歳代が6割を占める。消防防災ヘリは、山岳での遭難救助など危険な災害現場を飛行するため、一人前の操縦士になるまでに10年程度の訓練が必要だといわれている。ベテラン操縦士の大量退職を見据えた中長期的な対応も欠かせない。


ただ、人材の確保は容易ではない。操縦士不足の影響を抑えるためにも、隣接する都道府県で災害発生時の協力体制を構築するなど周辺自治体と連携を強めることも重要である。同時に、自治体は安全運航を大前提とした人材確保策を計画的に進めてもらいたい。


検討会では、自治体が消防防災ヘリを安定的に運航できるよう、議論を重ね、操縦士の養成・確保に向けた具体的な提案を示してほしい。

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