e福島再生へ将来像描け
- 2015.02.06
- 政治/国会
公明新聞:2015年2月6日(金)付
産業拠点構想の推進訴え
社会保障、中小企業さらに支援
参院予算委で若松氏
原発避難者の高速無料化 国交相「1年延長」表明
参院予算委員会は5日、「内政・外交の諸問題」に関する集中審議を行い、公明党から若松謙維氏が質問に立った。
若松氏は自公政権の経済政策「アベノミクス」により、過去3年で保育所の待機児童数や完全失業率などの数値が改善していることを示した上で、社会保障関係費や中小企業対策費などを増額させてきたと強調【表参照】。「安倍政権は社会保障や中小企業、地方に優先的に配慮している」と評価する一方で、アベノミクスにより格差が拡大しているとの指摘にも触れ、「経済成長には所得格差は必ず出てくるが、その副作用に対応するのも政治の課題だ」と訴え、見解を求めた。
安倍晋三首相は公明党が提案した「政労使会議」において、2年連続で賃金引き上げなどで合意したことを紹介。非正規労働者のキャリアアップや処遇改善にも取り組む意向を示し、「格差が固定化しないよう、多くの方に何回でもチャンスのある社会をつくる」と答えた。
東日本大震災の復興に関して若松氏は、東京電力福島第1原発事故による避難者の高速道路無料化が今年3月末で期限を迎えることに言及し、無料期間の延長を求めた。これに対し太田昭宏国土交通相(公明党)は、「生活再建に向けた移動支援に対し、地元からの要望も強い」と述べ、来年3月末まで1年延長する方針を示した。
また若松氏は、福島県沿岸部の浜通り地域を多様な先端産業の拠点とし、地域再生をめざす「福島イノベーション・コースト構想」について、「すそ野が広く、中長期的な国の支援が不可欠だ」として推進を要望。その上で政府が検討を進めている、原発事故に伴う避難区域が設定された「福島12市町村の将来像」の中に、同構想を位置付けるよう求めた。竹下亘復興相は「将来像」を議論している有識者会議が、夏にも提言をまとめる予定だと述べ、「(提言は)当然、イノベーション・コースト構想も包含される形で検討していく」と述べた。
さらに若松氏は、3月に仙台市で開催される国連防災世界会議への安倍首相の出席を要請。首相は同会議について、日本が防災先進国として培ってきた知見や技術を世界と共有する重要な機会だと指摘し、「国会日程との調整が整えば私も会議に出席し、わが国の防災の取り組みや東日本大震災からの復興の状況を発信したい」との意向を示した。
このほか若松氏は、原発事故の影響で、福島県産の農産品に対する風評被害が長引いているとして、離農を検討している農家も多いと指摘。原発事故の賠償について、「数年分を一括支給して、転職しやすい制度を創設すべきだ」と提案した。