e現場を歩く 「利用者の安心を確保」
- 2015.02.10
- 情勢/社会
公明新聞:2015年2月10日(火)付
14年度補正予算
地域医療への支援が前進
有床診療所等の防火対策
福岡市
「有床診療所では、絶対に起きてはいけないことだった......」。悔しげに関係者が振り返るのは、2013年10月に福岡市博多区で発生した診療所火災。未明に出火した炎は室内に煙を充満させ、一酸化炭素中毒で自力の歩行が困難な高齢者を含む10人の命が奪われた。
火災後、直ちに現地調査を実施した公明党は国会質問などで小規模医療機関の火災対策を取り上げ、同機関へ初期消火に有効なスプリンクラー(自動散水装置)設置の義務化などを提案。対策を求められた政府は、13年度の補正予算で、ベット数が19床以下の有床診療所や病院を対象に、スプリンクラー設置費用のための補助金を予算化した。
こうした対策に続き、14年度の補正予算では、スプリンクラー整備費とともに、自動火災報知設備などを設置する補助金も計上された。地域医療を支える有床診療所に対し、国による配慮がなされたことに、関係者は安堵の表情を浮かべる。
福岡市東区の田坂医院では13年度の補助金を申請し、1月末からスプリンクラー整備の工事が始まっている。同院の前院長で、全国有床診療所連絡協議会の防災対策を担当する田坂健二理事は「いつでも安心して利用してもらう診療所であるために不可欠な対策だ」と、設置作業を見守りながら語った。田坂理事は、全国の有床診療所への早期整備を呼び掛けている。
同連絡協の理事で八田内科医院の八田喜弘院長(福岡市早良区)は「昨春の医療法改正で、住み慣れた地域で患者に医療を提供できる有床診療所の役割が初めて明記された。(有床診療所は)全国でも減少傾向が続くが、地域住民の"かかりつけ医"としての役割を果たしたい」と強調する。「地域包括ケアシステム」の担い手としても期待される有床診療所への、さらなる支援に期待が広がっている。