eウクライナ停戦

  • 2015.02.16
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年2月14日(土)付




合意実行に国際社会も貢献を



ウクライナに再び和平が訪れることを強く望みたい。昨年3月、ロシアがウクライナ南部のクリミア半島編入を宣言して以降、両国間の領有をめぐる激しい戦闘が続いた。


ドイツ、フランス、ロシアとウクライナの4カ国首脳の合意を受け、あす15日午前0時(日本時間同午前7時)からウクライナ紛争は停戦に入る。合意の趣旨はウクライナの主権と領土保全を尊重し、ウクライナ政府軍と親ロシア派武装勢力の双方が重火器を撤収するというものだ。


停戦合意は昨年9月にも締結されており、これで2度目である。前回の停戦は、双方が合意を順守していないと批判し合い、守られなかった。ドイツのメルケル首相は、今回の停戦合意が再び崩壊しないか危惧しているという。停戦を確実にするには、ロシアとウクライナ両政府の自制的な対応が第一条件だ。


欧米諸国は親ロシア派武装勢力の武器が、ロシアから供与されているとみる。欧州連合(EU)はクリミア編入に関連してロシアへの経済制裁を実行中で、今回の合意が守られない場合は追加制裁も辞さない構えだ。通貨ルーブルの急落でロシア経済は苦境下にあり、景気後退を一層悪化させるような事態をロシア自ら招くのは得策ではあるまい。ロシアは武装勢力の動きが停止するよう積極的に働き掛けるべきではないか。


ウクライナは昨年2月の政変で親ロシア派のヤヌコビッチ前大統領が退陣、ポロシェンコ大統領が政権を握った。その際、政府がロシア語系住民の権利を制限する措置を取るなど東部住民との関係を悪化させた経緯がある。歴史的に同国は西部をウクライナ語系住民が占め、東部はロシア語系住民が暮らし共生してきた。差別の助長は対立をあおる。東部住民との対話による共存を模索してこそ、緊張緩和につながるだろう。


停戦監視は欧州安保協力機構(OSCE)が担うが、停戦状態を維持するには手厚い人道支援などが必要だ。国際通貨基金(IMF)は、財政危機に陥ったウクライナに対して約2兆円の金融支援を行う。ウクライナ問題は国際秩序を揺るがす要因になりかねないだけに、和平構築に向けて国際社会が貢献すべきだ。

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