e経済の好循環実現へ
- 2015.02.18
- 情勢/経済
公明新聞:2015年2月18日(水)付
賃上げ促し家計支援
地方創生 「ひと」に焦点当て活性化
衆院本会議で井上幹事長
中小企業の外形標準課税慎重に
仙台市で防災会議の定期開催を
保育、介護人材の処遇改善急げ
難病対策進め、がん検診啓発も
衆院は17日、本会議を開き、安倍晋三首相の施政方針演説などに対する各党代表質問を行った。公明党の井上義久幹事長は、「経済の好循環」実現や東日本大震災からの復興加速へ、「日本の将来を見据えながら改革を前に進める」と決意を表明。社会保障の充実によるセーフティーネット(安全網)の強化や正規雇用の拡大、教育機会の均等などあらゆる施策を通じ、「格差・貧困の解消に引き続き取り組む」と訴えた。=関連記事、質問と答弁要旨
【経済再生】
井上幹事長は、政労使が協力して賃上げを促す取り組みを訴えるとともに、中小企業・小規模事業者が円安による原材料価格の高騰に苦しんでいることから、下請け企業に対する取引価格の適正化を主張。また、資本金1億円超の企業を対象とした外形標準課税のあり方について、地域経済や企業経営への影響を踏まえて慎重に対応すべきと指摘した。首相は「慎重に検討を行う」と答弁した。
【地方創生】
井上幹事長は、2015年度予算案で地方創生に必要な経費が計上されていることに触れ、税制面などを含め、「ローカル(地方)経済圏」の活性化に取り組むよう要望。少子高齢社会に対応したロボット技術の利活用を進めることも求めた。
公明党が重点的に取り組む施策として、▽地域しごと支援▽大学生らの地方定着の推進▽生活サービス施設を集約化した「小さな拠点」の形成―など5分野を挙げた。また、誰もが生涯現役として生きがいにあふれた生活を営む「活動寿命」を延ばすべきとし、「『ひと』が主役の地域社会の構築こそが真の地方創生だ」と主張した。
【農林水産業】
井上幹事長は農協改革をめぐる関連法の改正に当たり、農協の自己改革を妨げず、改革の目的である農業所得の向上や地域活性化につなげるため、農業者の意見を十分踏まえて検討するよう求めた。首相は「担い手と地域農協が創意工夫を発揮してブランド化や海外展開などを行うことで所得向上につなげる」と答えた。
【復興・防災】
東日本大震災からの避難によって人口が減少した影響などで、被災自治体に対する普通交付税の配分額が減るとの懸念について井上幹事長は、「実態に即した対応措置を検討すべき」と訴えた。首相は「被災自治体の財政運用に支障が生じないよう、しっかり検討する」と答えた。
一方、井上幹事長は、避難住民の帰還を促進する交付金の創設や、健康面の不安を解消する相談体制整備の支援策が盛り込まれた福島復興再生特別措置法改正案の早期成立を求めた。
このほか、仙台市で来月開かれる国連防災世界会議を契機とし、世界の防災関係者が2年に1回程度、仙台市に集う「仙台会議」の開催を提案した。首相は、「防災の主流化を定着させるため、提案も踏まえ、よく検討したい」と応じた。
【社会保障】
井上幹事長は、子ども・子育て支援として、保育士の賃金引き上げなどの処遇改善や待機児童解消などを主張。難病対策では「総合的な支援体制の確立が必要だ」と訴えた。
介護保険制度の見直しについては「地域包括ケアシステムの構築が急務だ」と力説し、介護人材の確保と処遇改善を求めたほか、介護報酬改定を踏まえ、小規模事業者への適切な対応を求めた。がん対策では、検診受診率目標の50%達成や患者の就労支援、がん教育の全国展開などを訴えた。
首相は、難病対策の拠点病院の整備など医療体制の確保や、がん検診受診率50%達成に意欲を示した。
【安全保障】
井上幹事長は安全保障法制の整備に当たり、基本方針を定めた昨年7月の閣議決定や衆参予算委員会における首相と内閣法制局長官の答弁に沿って進めるべきと強調。首相は「与党としっかり相談しながら、万全の法案準備を進める」と述べた。このほか井上幹事長は、12月の温暖化対策を話し合う国際会議(COP21)に向けて、野心的な温室効果ガス削減目標の検討なども訴えた。