e所得再分配さらに強く

  • 2015.02.20
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年2月20日(金)付




難病、認知症対策を前進

職場情報 提供はニーズに応じて

衆院予算委で上田、佐藤(茂)氏



衆院予算委員会は19日、安倍晋三首相ら全閣僚が出席して、2015年度予算案に関する基本的質疑を行い、公明党の上田勇、佐藤茂樹両政務調査会長代理が質問に立った。=質問と答弁要旨



UR居住者などに配慮を 私立学校の耐震化急げ



上田氏は、世界的に貧富の格差に対する懸念が高まっているとして、「経済のパイ(規模)を大きくするために、成長率を高めることが最優先であり、その果実が賃金上昇などを通じて所得の底上げをしていくことが重要だ」と指摘した。一方、成長率が高い場合は、所得格差が広がる傾向があることから「成長力と(所得)再分配の強化が経済政策の両輪だ」と強調した。


その上で、所得再分配に向け「政府として取り組んできたが、今の認識は十分ではないのではないか」とし、これからの成長率の高まりや消費税率10%への引き上げを踏まえ、奨学金の拡充などで「再分配機能をさらに強化していくべきではないか」と強調した。


このほか、今後の法人税改革について、地域経済や雇用の担い手である「中小企業・小規模事業者の負担が増えることがないよう十分な配慮を」と要望した。


一方、上田氏は、都市再生機構(UR)賃貸住宅や雇用促進住宅の居住者が高齢化している実情に言及。雇用促進住宅は、民間への売却などが行われてきたが、「今後は、居住者の安定と安心が最大限考慮されるべきだ」と訴えた。


太田昭宏国土交通相(公明党)は、UR居住者が安心して住み続けられるよう取り組むとともに、「改革という名の下で居住者を追い出すことは絶対にあってはならない」と力説。塩崎恭久厚生労働相は、雇用促進住宅の居住者に対し「今後も最大限の配慮をしつつ、(改革を)丁寧に進めていく」と答えた。


一方、佐藤氏は、全国の公立小・中学校施設の耐震化率が15年度予算案の事業完了時にほぼ100%となる見込みなのに対し、私立学校施設では同87%程度にとどまると指摘。「子どもの命に国公立も私立も差があってはならない」として、体育館の天井の落下防止対策などと併せ、さらに推進していくよう求めた。


また、若者を使い捨てるブラック企業対策として、企業が求職者に職場の情報を積極的に提供するよう定めるなどした若者雇用対策法案について質問。企業にとって都合の良い情報ではなく、求職者のニーズに応じた情報が提供されるよう、同法案が成立した後に策定される事業主向けの指針に盛り込むべきと訴えた。


塩崎厚労相は、ハローワークに求人を出した企業に対し、職場情報の全項目を提供するよう求める内容を指針に盛り込むことを検討すると答えた。


また佐藤氏は、今年1月から子どもを含む難病患者の医療費助成制度が大幅に拡充したことについて、「希少疾患の患者を社会で支えていくという、世界でも例のない良い制度だ」と指摘。一方で今後の課題として、(1)研究促進(2)患者の就労・相談体制の充実(3)小児から成人まで切れ目ない支援体制――などを挙げた。


このほか佐藤氏は、地域包括ケアシステムの構築へ介護の担い手確保は喫緊の課題だと強調。15年度予算案で介護職員の処遇改善がさらに進むことを評価するとともに、世界最速で高齢化が進む日本の認知症対策は世界からも注目されていると訴えた。


これに対し安倍首相は、20年には認知症治療薬の治験開始をめざしたいとした上で、認知症サポーターの養成も含め、「認知症の方が住み慣れた地域で暮らすことができるよう、環境を整えたい」と述べた。

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