e地域運営組織 住民自治の活動を促す支援を

  • 2015.02.23
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年2月23日(月)付



地方を取り巻く状況は厳しさを増している。少子高齢化と人口減少は加速度的に進み、集落の維持すらままならない地域も珍しくない。そうした地域の住民生活を支える「地域運営組織(RMO)」が注目を集めている。


RMOとは、地域の近隣住民が主体となって結成した自治組織で、住民同士が支え合うネットワークを築き、地域の暮らしを守っている。特に、中山間地域など、過疎化が進み、住民生活に支障を来している地域では、RMOが孤立しがちな高齢者への声かけや見守り、買い物支援などを行っている。


総務省が昨年3月にまとめた「RMOによる総合生活支援サービスに関する調査研究報告書」によると、RMOが既に活動している市町村は28%に及ぶ。まだRMOの存在しない地域に立ち上げる必要があるかとの問いに対し、市町村の79%が「今後必要」、5.4%が「今すぐ必要」と回答している。RMOに対する自治体の期待度の高さがうかがえる。


ただ、地域の有志が集まってつくられたRMOのほとんどが任意団体であり、収益事業を行っている組織も少ない。活動を継続していくには、自治体の支援が必要になってくるだろう。


島根県雲南市は、市全域にある43のRMOの活動拠点として、各地の公民館を利用できるようにしたほか、交付金を支給し、RMOの事業を後押ししている。また、地域の見守り活動を行っているRMOが、市の水道局から検針業務を受託し、業務の事業収入を得ながら、検針で回る訪問先の住民に声かけできるようになるなどの支援策も実施されている。こうした取り組みは参考になる。


RMOの結成を全国的に促進していくため、140の自治体が参加する「小規模多機能自治推進ネットワーク会議」が先週、発足した。RMOに関する自治体間の情報共有を進めながら、RMOが活動しやすいよう、法人格を取得できる法整備などについて、国と意見を交換していくという。


任意団体のままでは、会計処理が個人責任になるなど不便も多い。建設的な議論を進めてほしい。

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