eコラム「北斗七星」

  • 2015.02.25
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年2月25日(水)付




昨年、シンクロナイズド・スイミングの日本代表コーチに復帰した井村雅代さんが、かつて、こんなことを語ったことがある。「一流は環境を全て受け入れて、どう自分をベストにもっていくかを考える」◆井村さんはシンクロの日本代表監督・コーチとして、ロサンゼルス五輪から6大会連続で日本にメダルをもたらした人である。異名は「シンクロ界の母」。アテネ五輪の後、大阪市平野区内で取材した際に聞いた、その言々句々が記録に残っている◆アテネ五輪で日本シンクロ陣はデュエット、チームとも銀メダルを獲得した。ところが井村さんによれば、選手村の環境は劣悪だったらしい。部屋にはお風呂がなくシャワーだけ。しかも排水が逆流し、床は水浸しに。ベッドには布団がない。食事もまずかった◆さぞかし愚痴の一つも吐いただろうと思いきや、選手は何も言わなかったという。布団を買い、選手村ではカロリーを取るため、パンの上にバターとチーズを載せて食べた。「根性のすわっている人は悪環境を笑い話にしてしまう」。井村さんの弁だ◆先週末、政府は選手強化へ「スポーツ庁」の設置法案を閣議決定した。公明党が以前から求めてきたものだ。そういえば、井村さんは「限界をつくらない『心の才能』こそ一流選手の条件」とも言っていた。限界突破のその先に、栄冠は輝くのだ。(田)

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