eマイナンバー制度 開始に向け広報活動の強化を
- 2015.02.25
- 情勢/解説
公明新聞:2015年2月25日(水)付
社会保障と税の共通番号(マイナンバー)制度が、来年1月から実施される。内閣府が先月行った世論調査の回答で「制度内容を知らない」が70%を超えた。情報漏えいの不安を訴える回答も約30%あった。
内容を知らない国民が多い中で、10月からのマイナンバー通知を行えば、行政への問い合わせが殺到し制度運用に支障を来す恐れもある。制度を円滑に始めるために、生活の利便性向上につながる点を広報し、その意義を国民に理解してもらう努力が必要だ。
マイナンバー制度は全国民に12桁の数字を付与し、年金や雇用保険の給付手続き、所得税の確定申告などの作業を簡素化するための仕組みである。これで書類チェックに膨大な人と時間を費やす行政事務の負担を軽減し、待ち時間をなくすといった効率化を促すこともできる。
また、乳幼児が受けた予防接種や成人の健診履歴を医療機関が確認し、健康管理に生かすことも可能である。
特に、強調すべきなのは、社会保障と税などの情報を誤差なく把握・管理することができる点である。持続可能な社会保障制度を構築するためには、負担と給付の均衡を確保することが必要だが、介護サービス費の支給漏れや過払いなどが後を絶たない。納税実績、社会保障給付などの情報を制度ごとに複数の機関が別々に管理するためだ。
マイナンバー制度で個人情報を集約化することで事務処理の煩雑さを解消すれば"消えた年金"のような問題も防止でき、社会保障制度の信頼感を高めることにもなる。
一方、個人情報の漏えいや不正利用の防止は、第三者機関の「特定個人情報保護委員会」が当たる。情報の取り扱い状況を監視・監督し、関係機関への立ち入り検査権限も持つ。制度の信頼性を保つ上で同委員会の果たすべき役割は重い。万が一、悪用が疑われる場合には厳正な対処を行うことが求められよう。
情報は専用のネット回線を通じて自治体などの公的機関で使う。回線の安全性は確保されているが、安全を脅かすような技術的問題が起きないか、常時点検すべきだ。
制度開始に向け万全の態勢を整えるべきである。