e生活困窮者への支援 総合的な対策で自立の後押しを

  • 2015.02.27
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年2月27日(金)付




経済的に困窮する人を、生活保護に至る前の段階から支え、自立できるように積極的に後押しする生活困窮者自立支援制度が4月から始まる。福祉事務所を設置する全国約900カ所の自治体で準備が進んでいる。


失業や病気、障がい、引きこもりなどの事情から生活に困窮している人は多い。有効な支援を受けられなければ、いずれ生活保護制度を利用せざるを得なくなる恐れがあり、早めの対策が欠かせない。


支援制度によって自治体は、相談窓口を設けて自立に向けた支援プランを作成したり、一定の条件で家賃相当額の「住居確保給付金」を支給する事業が義務付けられる。


また、自治体は任意事業として、困窮者への職業訓練や、"貧困の連鎖"を断つために困窮世帯の子どもへの学習支援にも取り組める。費用は国が支援事業に応じて2分の1または3分の2を補助する。


厚生労働省の調査(昨年12月時点)によれば、職業訓練を含めた就労準備支援事業を行う予定の自治体は254(全体の28.2%)、学習支援事業を計画する自治体は313(同34.7%)に上る。


困窮者の抱える問題は複雑多岐にわたり、総合的な取り組みが不可欠だ。地域の実情に応じた、きめ細かい支援が必要だろう。


この点、先行してモデル事業を実施している自治体の経験が参考になる。


例えば、川崎市では一昨年12月に「市生活自立・仕事相談センター(愛称・だいJOBセンター)」を開設し、精神保健福祉士や社会福祉士らの専門家が相談に応じている。特に、ハローワークでの求人が少ない高齢者の求職相談に積極的に対応することで、困窮者の就労に大きな成果を上げているという。


困窮者の中でも適切な支援さえあれば、働ける人は多い。自治体には効果的な就労支援策を検討してもらいたい。


一方、困窮者が孤立し、自ら助けを求められないケースも珍しくない。窓口にたどり着けない人を早期に見つけるため、福祉機関との連携を強化したり、出張相談窓口を開設する自治体もある。


困窮者に寄り添う支援体制づくりへ、さらに知恵を絞るべきだ。

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