e消費税の軽減税率

  • 2015.03.05
  • 情勢/社会
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公明新聞:2015年3月5日(木)付




2017年度からの導入へ

急ピッチで制度づくり

斉藤鉄夫・公明党税制調査会長に聞く



食料品などの消費税率を標準の税率より低く抑える軽減税率について、自民、公明の与党両党は、2017年度からの導入をめざし、急ピッチで協議を進めています。どのような議論が行われているのか。公明党税制調査会の斉藤鉄夫会長(衆院議員)に聞きました。



秋口までに具体案



与党検討委 対象範囲など議論



―昨年末の衆院選で公明党は、軽減税率の実現を訴えました。その後どうなっていますか。



まず、これまでの経緯を簡単に振り返ると、公明党が野党だった12年、民主、自民、公明の3党で合意した社会保障と税の一体改革で、消費税率を2段階で10%へ引き上げることを決めました。その際、公明党が低所得者対策の選択肢の一つとして盛り込ませたのが、軽減税率です。


自公政権が再発足後は与党の14年度税制改正大綱に「(消費税率)10%時に導入する」ことを明記。さらに昨年末に決定した15年度大綱には10%に引き上げる「17年度からの導入をめざして」と実現時期の目標を定めました。



―それを踏まえて、自公両党の協議が進められているのですね。



その通りです。今は、具体的な制度案について、与党税制協議会の下に設置された「消費税軽減税率制度検討委員会」で話し合っています。私も副委員長として加わり、今年2月9日に第1回の会合が行われました。



―具体的には、どんな課題があるのですか。



軽減税率適用の対象として飲食料品を考えるというのが自公の共通認識です。その上で、どの範囲まで含めるかという問題があります。これは、税収減をどこまで認めるかという課題とも関係してきます。また、消費税率が複数になることによって、事業者の納税事務の負担が過度に重くなるのを抑えたり、不正な申告などを防ぐ対策が必要です。こうした経理手法についても議論しています。



―今後の日程は。



与党の検討委員会で野田毅委員長(自民党税制調査会長)は、「今年の秋口までに制度案をまとめる」と述べました。近いうちに2回目の会合が持たれ、財務省から対象品目や経理手法に関する課題を整理した資料が提出されることになっています。与党のみならず、財務省も一緒になって、制度案をまとめていく作業に入っていきます。


予定通り制度案が固まり、その法律が速やかに成立すれば、17年4月の消費税率10%への引き上げと同時に軽減税率導入が実現できます。



国民理解を得る上で不可欠



低所得者ほど重い負担感和らげる



―先週の衆院予算委員会で、民主党議員から「軽減税率は逆進性の緩和にほとんど寄与しない」といった発言がありましたが。



そんなことはありません。消費税は、所得に関係なく同じ税率がかかるため、所得の少ない人ほど負担感が重くなります。これが逆進性と呼ばれる問題です。


例えば、家計の消費支出に占める食料費の割合を示す「エンゲル係数」は、低所得者ほど高くなります。従って、食料品などに軽減税率を適用することは、そうした方々の負担を軽くする効果があるのは間違いありません。



―そもそも軽減税率は低所得者対策(逆進性対策)として自公民の3党合意に盛り込まれていたんですよね。



そうです。今になって民主党が軽減税率の効果を疑うような発言をするのは、驚きです。


軽減税率導入の必要性について、神野直彦・東京大学名誉教授は「食料品などの生活必需品の税金が上がっても、生きていくために、人は消費をしなくてはいけません。だからこそ、そうした品目に対する重い課税は避けるべきだというのが軽減税率の基本的な考え方です」(14年11月14日付本紙)と語っています。



―社会保障を支える消費税の役割を国民に理解してもらうことが重要です。



そのためにも、軽減税率の導入が必要だというのが公明党の考え方です。公明党の主張により、消費税率の引き上げによる増収分の使い道は、法律で年金、医療、介護、子育ての4分野に限定されています。増税の"痛み"を少しでも和らげることが、消費税に対する国民の理解を得る上で不可欠です。


軽減税率を否定する政党は、国民の生活実感がまるで分かっていないと言わざるを得ません。

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