e災害時の地方議会 役割定めた対応指針作りが重要
- 2015.03.09
- 情勢/解説
公明新聞:2015年3月9日(月)付
地震や豪雨などの災害が発生した時の地方議会や議員の対応・行動を定めた指針やマニュアルをつくる動きが広がっている。
自治体には防災計画の策定や住民の救助、復旧などの対応が法的に義務付けられているが、議会には災害の対応に関する法令の定めはない。
東日本大震災では自治体の機能がまひし、議員が行政の情報をスムーズに受け取れないケースがあった。また、議員が個々に行政へ地域の被災情報や要望を伝えざるを得ず、それに行政側が十分に対応できない事例もみられた。
こうした教訓を踏まえ、各地の議会で策定が進んでいる指針やマニュアルには、自治体から議員に対する情報の伝達・提供の一元化、議員が地域や避難所を調査することなどを定めたものが多い。
例えば、埼玉県越谷市議会が定めた対応要領では、必要に応じて、議長を本部長とする市議会災害対策支援本部を設けられるようになっている。議員が地域で集めた被災情報は、同本部が整理して市側に提供する。実際、2013年9月に同市を襲った竜巻被害では、要領に沿った行動で議員と市側の情報のやり取りが円滑に行えたという。
優先業務などを定めた業務継続計画(BCP)を策定した議会もある。滋賀県大津市議会は、市議会公明党も積極的に推進し、全国初の議会BCPを昨年3月に策定した。災害発生の初動期から1カ月後までの期間に、議員が取るべき行動を定めており、議会機能の早期回復をめざしている。近く、市議会などの役割を明記した災害等対策基本条例案も議会で審議する見通しで、参考になる取り組みだ。
地方政治は、自治体の議員と行政執行を担う首長が、それぞれ選挙で選ばれる二元代表制だ。議会は、平時ならば行政をチェックする役割が求められるが、大規模災害の場合には行政と協力して救援・復旧に全力を挙げなければならない。
特に議員は、行政が把握しきれない住民の多様な声を聞くことができる。指針が議員の行動全てを制限しないよう注意した上で、災害時に議会と議員が果たすべき役割は何か、各議会で活発な議論を期待したい。