e『人間の復興』へ 意識調査から<上>
- 2015.03.09
- 情勢/社会
公明新聞:2015年3月9日(月)付
復興に"女性の視点"反映さらに
7日に仙台市で開催された公明党東日本大震災復興加速化会議の席上で発表された、党独自の「『人間の復興』へ 意識調査」の結果について、概要を上下2回で伝える。識者の見解などを加えた詳報は11日付に掲載予定。
「生きがい」ある7割超
仮設入居者 通院・買い物に支障も
意識調査は、岩手、宮城、福島の被災3県で暮らす被災者を対象に、2月1日から25日まで実施。各県本部所属議員と議員OB、党員による個別面談聴取方式で、合計1396人から回答を得た。
被災地では、再建した学校施設や鉄道などの割合が9割を超え「目に見える復興」が進んでいるが、震災から4年を迎える今も心の傷を癒やすことができず、苦しみを抱え続ける人がいる。このため、公明党の調査では「心の復興」に焦点を当て、被災者の主観や内面に迫ることを目的とした。
調査の概要は「住まい」「被災地の心象」「福島の今」の三本柱からなる。
「住まい」の項目では、現在も仮設住宅で暮らす人への支援の必要性が浮かび上がった。
「孤立を感じるか」の問いでは、仮設入居者の約7割が「ほとんどない」と前向きな回答を寄せる一方で、依然、3割の人には孤立感があり、心の奥に課題を抱えている可能性が明らかになった。
また、「生きがい」について「特にない」「どちらかといえばない」と答えた人は、居住形態別では「仮設住宅」(34%)、「復興公営住宅」(29.5%)、「みなし仮設住宅」(21%)の順に少なくなる。
震災から4年近くが過ぎ、住宅を再建したり、復興公営住宅に移ったりなどと、仮設住宅の中でも空室が増えつつある。意識調査のコメント欄では、生活再建の新たな段階に移っていく人々を目にしてきた仮設入居者から、「自分だけ取り残されている」などの声が寄せられていた。
仮設住宅の周辺には、医療機関やスーパーなどがないこともあり、移動手段の確保が重要となる。移動に関する不安について聞いたところ、仮設入居者の2割が震災後に不安を感じるようになったと回答した。そのうち6割が自家用車で移動しているが「加齢に伴う運転の不安」を吐露している。交通手段がない年金生活者からは「買い物や通院でタクシーを使わざるを得ないが、往復で4000円掛かり、苦しい」などの声もあった。
「被災地の心象」の項目で目立ったのは「生きがい」を感じる人の割合が7割に上った点だ。党復興加速化会議の席上、山口那津男代表は「公明党がめざす『人間の復興』への取り組みが確実に前進していると捉えていいのではないか」と分析する一方、「それでもなお3割の人が生きがいを見いだせずにいることを重視し、一層の支援に取り組みたい」と強調した。
「生きがい」については、男女差も浮き彫りになった。男性は被災3県全体で78%という高い数値になったが、女性は5.3ポイント低い72.7%。男性よりも女性が「生きがい」を感じにくい傾向は被災3県に共通しており、今後は、復興の具体策に、より女性の視点を反映させいく必要性があるといえそうだ。