e食物アレルギー 指針踏まえ学校給食の事故防げ
- 2015.03.10
- 情勢/解説
公明新聞:2015年3月10日(火)付
学校給食におけるアレルギー事故をどう防ぐか。文部科学省は先週、教育委員会や学校、調理場が対応マニュアルを作成する際の参考となる、基本的な考え方や留意点を示した指針を公表した。
教育委員会や学校は、食物アレルギーのある児童・生徒が安心して学校給食を利用できるよう、指針を基に事故防止に向けた対応を強化してもらいたい。
指針では対応の大原則として(1)安全性を最優先に食物アレルギーのある児童・生徒にも給食を提供する(2)原因食物の完全除去対応を原則とする(3)事故につながるため、過度に複雑な対応は行わない―などを提示。その上で、献立作成時や調理作業中、給食の時間など各場面で注意すべき具体的な対応を示した。学校や調理場内で全ての事故やヒヤリハット事例を共有し、対策を進めることも求めた。
子ども一人一人のアレルギー体質を正確に把握することが対策の第一歩だ。小学校で起きた食物アレルギーによる死亡事故を受け、再発防止策を議論してきた文科省有識者会議の最終報告によれば、学校現場では事前に医師の診断書を添えず保護者からの申告だけで対応している事例が少なくないという。医師の診断結果や緊急時の対応などについて記した申告書「学校生活管理指導表」の提出を徹底する必要がある。
栄養教諭や養護教諭などに対応を任せ、組織的な取り組みになっていないことも指摘されている。校長を責任者として関係者で組織する「食物アレルギー対応委員会」の設置も進めなければならない。
万が一、事故が起きた場合の備えも欠かせない。文科省は、緊急時の対応などについて分かりやすくまとめた資料や研修用教材の配布作業を進めている。全教職員が食物アレルギーの正しい知識を持ち、アレルギーによるショック症状を緩和する自己注射薬「エピペン」を扱えるよう、実践的な研修を定期的に行うことが重要だ。
間もなく新学期を迎え、児童・生徒や教職員が入れ替わる。学年が変わったのに、旧クラスに対応食を配膳したケースもあるという。学校側は情報を周知徹底し、事故防止に取り組んでほしい。