eコラム「北斗七星」

  • 2015.03.16
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年3月16日(月)付




沖縄と言えば、何をイメージするだろうか。青い空に、きれいな海、温暖な気候、毒蛇のハブ......。「沖縄の人は、いつも泳げて羨ましい」。県外の人からは、そう言われることが多い◆だが実際は違う。ウチナーンチュ(沖縄人)は海でほとんど泳がない。海は「ビーチパーティー」(バーベキュー)をする場所というのが一般的だ。ちなみにハブは一度も見たことがない。年間の晴天率も全国最低クラス。冬はもちろん寒い◆イメージと実態がそぐわない事例は多々あるが、実際に暮らしてみないと、案外気づかないものだ。その最たるものが"沖縄問題"である。米軍基地の過重負担、不発弾の処理、教育・福祉、経済格差など、問題は実に多岐にわたる。いずれも沖縄戦に端を発することが共通点だ◆本土防衛のため、住民を巻き込んだ地上戦が繰り広げられ、24万人以上の犠牲者を出した沖縄戦。戦後、本土が日本の主権を取り戻す一方、沖縄は27年間、米国の施政権下に置かれ、復興の機を逸した。そのひずみが今も沖縄に重くのしかかる。沖縄問題は「日本の問題」である◆取材で出会った戦争体験者は「当時の話はしたくない」と、今も戦争の記憶に苦しんでいる。今年は戦後70年。ウチナーンチュの思いが尊重され、多くの問題が解決へ前進することを願いたい。(治)

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