e参院予算委での公明党の質疑(要旨)
- 2015.03.18
- 政治/国会
公明新聞:2015年3月18日(水)付
17日の参院予算委員会で公明党の西田実仁参院幹事長、山本博司氏が行った質疑(要旨)は次の通り。
<西田実仁参院幹事長>
消費喚起へ各地で工夫
観光振興、子育て支援型など多彩
<プレミアム商品券>
西田実仁氏 (2014年度補正予算に盛り込まれた交付金を活用し)各市町村で検討されているプレミアム付き商品券は、各地ごとの工夫が凝らされている【図参照】。例えば、県が上乗せ補助をすることで大半の市町村が(入手額)1万円で1万3000円分の買い物ができる商品券を発行する準備をしたり、宿泊券やおみやげ券を額面より安く販売する方式を採る「観光振興型」がある。
また、地元の小型店舗だけで使える商品券を多く発行して小型店舗に配慮する方式や、子どもが3人以上いる世帯に優先購入権を設けたり、プレミアム率50%の商品券を販売する「子育て支援型」、子どもに障がいがある世帯にプレミアム分を上乗せする「福祉型」、多子世帯や子育て世帯に一定額以上の商品券を配布する「給付型」もある。
いずれも、それぞれの地域で消費拡大のきっかけにしてもらえるよう、知恵を絞っている姿が浮かび上がってくる。この商品券で消費喚起のきっかけをつくり、本格的な消費拡大へとつなげていく。まさに家計に届く経済の好循環を起こすことが何よりも大事だ。
安倍晋三首相 プレミアム付き商品券は、今まで1000を超える地方公共団体で実施された実績がある。消費を喚起する効果も定評があるといっていい。地域の実情に応じて、より効果の高い事業が実施されるよう促し、プレミアム付き商品券などの消費喚起策をさらに本格的な消費拡大につなげていきたい。
補助減額の仕組み見直せ
防災、ドクターヘリ 操縦士の養成・確保急げ
<子ども医療費>
西田 市町村が子ども医療費の窓口払いの撤廃など、窓口負担軽減のための地方単独事業を行った場合、国からの補助を減額する措置が実施されている。
30年前に創設された古い制度だ。この間に、少子化などの社会状況は大きく変化した。地方単独事業といっても、すでに多くの自治体で実施され、時代に即した制度へ見直しを行う時期に来ている。速やかに検討すべき。
塩崎恭久厚生労働相 今後、少子社会における子ども医療のあり方などを検討するための場を設けて、関係者も交えつつ議論し、しっかりと考えていきたい。
西田 消防防災ヘリやドクターヘリは、命を助ける重要な役割を担っているが、操縦士が不足している。
太田昭宏国土交通相(公明党) (関係省庁で構成される)連絡会議を立ち上げて、操縦士の養成・確保に向けた具体策について、今年夏までを目途に結論を得るよう検討を急ぐ。
西田 オールジャパン体制で継続的なヘリ操縦士の養成に乗り出すべきだ。
首相 (連絡会議などでの)検討結果も踏まえて、関係省庁が一体となって取り組みを進めたい。
キャリアアップ助成金 利用しやすい環境に
<中小企業支援>
西田 先日、埼玉県内の下請け会社を訪れたところ、10年ぶりに黒字になったという話を聞いた。黒字になったのは、対価が支払われてこなかった作業、経費の一部が支払われるようになったからだという。
だが、本来支払われるべき対価が払われず、下請け企業にしわ寄せがきている作業や経費は、まだまだ多い。円安や原油安によるもうけは、下請け企業にも十分に還元させるべきだ。政府も強く促してほしい。
首相 原材料価格の上昇分を適正に取引価格に転嫁できるよう、ガイドラインを改定する。年度末までに500社の大企業に立ち入り検査を実施する。
西田 15年度予算案には、非正規雇用の企業内でのキャリアアップや、処遇改善を実施した事業主を支援するキャリアアップ助成金が盛り込まれている。
中小企業が利用できるよう、事業主支援アドバイザーの配置見直しなどの支援体制をきめ細かく見ていく必要がある。
厚労相 アドバイザーの配置については、活用実績を踏まえて見直すことを考えている。申請書類の作成支援など手厚い支援を中小企業に対して積極的に取り組んでいく。
住民の安心確保が必要
<UR改革>
西田 都市再生機構(UR)が住宅セーフティーネットの役割を持続的に担うためにも改革は重要だ。しかし、住民の高齢化が進み、年金暮らしの人も多い。UR団地の統廃合や家賃改定ルールの見直しで、住み続けられなくなるのではとの不安の声も上がっている。UR賃貸住宅の居住者が安心して住み続けられるように、どう対応するのか。
国交相 UR団地を建て替える際は、所得の低い高齢者や子育て世帯が建て替え後の新しい住宅に入居して10年間、家賃を最大2万円引き下げているが、この2万円を15年度予算案で最大3万5000円まで拡大することを盛り込んでいる。さらに、11年目以降も家賃が上がらないよう、具体的な措置を検討したい。家賃改定ルールの見直しについては、URの委員会で居住者の意見を丁寧に聞いて検討するよう指示している。
<山本博司氏>
全員参加型の社会へ
農福連携で 障がい者の雇用を拡大
<地方創生>
山本博司氏 地方創生を成功に導くためには、地域人材の潜在力をフル活用することが重要。活力を取り戻すため、女性、若者、高齢者、障がい者が活躍できる「全員参加の社会」の実現に取り組むべきだ。
首相 一人一人が多様な状況に応じて、能力を発揮できる社会をつくるため、雇用の場確保が必要だ。(1)第1子出産前後の女性の継続就業率を5割以上に高める(2)若者の安定した雇用を30万人分確保する(3)60~64歳の就業率を上げる(4)障がい者の実雇用率を高める―など、あらゆる施策を動員していく。
山本 障がい者が農作業の担い手となり、水田や畑で働く「農福連携」が注目されている。障がい者の就労先の拡大や賃金上昇につながり、農業者にとっても、高齢化で不足している労働力を補うことができる。
愛媛県松山市の事業所では、耕作放棄地を借りて自然栽培でコメや野菜を作っている。賃金は平均の4倍以上の月6万円に上り、25人の障がい者が喜々として働いている。こうした取り組みを積極的に推進すべきだ。
林芳正農林水産相 国としても「医福食農連携」に取り組んでいる。トップダウンではない地方発の好事例だ。農福連携に向け、厚労省とも連携し、障がい者のための都市農園の開設・整備への支援も行っている。今後も推進していきたい。
山本 全国1040カ所ある道の駅は、特産品の販売や観光情報提供で雇用創出や地域経済の活性化を担っている。(生活サービスを集約し、交通手段を確保して周辺集落を結ぶ)「小さな拠点」を形成する上でも重要な施設だ。地方創生にどう活用していくのか。
国交相 道の駅は大事な拠点だ。観光・防災拠点としての機能とともに、役場や診療所を併設し、小さな拠点としての役割も果たせる。まちづくりのツールにもなることから、さらに活用していきたい。
山本 障がい者の作った産品を、道の駅で積極的に取り扱ってほしい。就労の場を広げるだけでなく、地域との交流を深めるためにも、全国的に推進できる仕組みを構築すべきだ。
国交相 各地の道の駅では、障がい者が作製した手提げかばんや、クッキーなどを販売する事例もある。交流という観点も含めて取り組みたい。
待機児童ゼロの実現を
ネウボラの全国展開めざす
<子育て支援>
山本 40万人分の新たな保育の受け皿を確保するため、「待機児童解消加速化プラン」が13年度からスタートしている。待機児童の解消に向けた、首相の決意を聞かせてほしい。
首相 (自公連立政権は)13年度から17年度までの5年間で約40万人分の受け皿をつくり、待機児童ゼロの実現を国民に約束した。最初の2年間で従来の2倍のスピードで保育所整備などを進めたことにより、20万人分を確保できる見込みだ。15年度からの3年間でさらに20万人分を確保する。そのため、15年度には保育所の受け入れ数を8万人分拡大する。「ゼロ」実現の約束を果たすため、強力に進めていく。
山本 就学前の保育や幼児教育環境の整備とともに、小学校入学を機に預け場所がなくなるため、育児と仕事の両立が困難になる「小1の壁」と呼ばれる課題の解消も急務だ。(放課後児童クラブの拡充に)どう取り組むのか。
厚労相 小1の壁打破に向け、文部科学省と共同で放課後子ども総合プランを策定した。19年度末までに、放課後児童クラブの受け入れ数を30万人分増やす。15年度予算案では、約17万人分の受け皿確保に向け、自治体への大幅な支援策の充実を図っている。職員の処遇改善や質の向上に必要な経費も盛り込んでいる。
山本 (公明党が推進している)フィンランドの制度で妊娠から子育て期までを一貫して支援する「日本版ネウボラ」の全国整備を今後どのように進めていくのか。
厚労相 希望通りの出産・子育てができるよう、切れ目のない支援を行うワンストップ(1カ所)拠点を、「子育て世代包括支援センター」として立ち上げる。全ての妊産婦の状況を継続的に把握し、特に支援が必要な人には、オーダーメードの支援プランを策定する。実施市町村の増加状況も踏まえつつ、全国展開をめざしたい。