e春闘集中回答 賃上げの流れ 中小、非正規にも

  • 2015.03.18
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年3月18日(水)付




今春闘の自動車や電機大手の賃上げ交渉は、業績改善を背景に昨年を上回る水準の回答が相次ぎそうだ。自動車や電機など主要企業はきょう18日、「集中回答日」を迎え、労働組合の賃金要求に対して一斉に回答する。


春闘の先導役とされるトヨタ自動車の労使交渉は、基本給を引き上げるベースアップ(ベア)について、前年実績から大きく積み増す月4000円で事実上決着している。日産自動車もこれを上回るベア実施に合意した。電機大手6社も、前年を上回るベア月3000円でほぼ決まった。

 

公明党が提案して設置された政労使会議で、業績好調な経済界に対し、政府が賃上げを要請し続けてきた成果といえよう。


景気が上向くには、何よりも個人消費の力強さが欠かせない。そのためには物価上昇分以上に賃金が上がる必要がある。安倍晋三首相は16日の参院予算委員会で、4月になれば実質賃金がプラスになっていく可能性があるとの認識を示した。賃上げの流れが確実なものになるかどうかは、これからが正念場だ。


働く人の7割を占める中小企業で給与が上がらないと、本格的な景気回復は望めない。大企業と違って、中小企業は昨年に比べて賃上げに慎重な企業が目立つ。足かせの一つとなっているのが、原材料費の上昇分を価格転嫁できないことだ。昨年12月の政労使会議では、円安に苦しむ中小企業に配慮し、大企業が原材料費の値上がり分を適正に価格転嫁できるよう協力をすることで合意した。大企業は引き続き、取引価格の適正化に取り組んでほしい。


労働者全体の約4割を占める非正規雇用の賃上げも重要だ。政府の2015年度予算案では、非正規社員への賃上げなどを行う企業に対する助成金の拡充を盛り込んでいる。政府の支援策を積極的に活用して、待遇改善に力を注いでもらいたい。


継続的な賃上げにより家計の収入が増えて個人消費が拡大すれば、企業の業績改善にもつながる。デフレ脱却には、こうした「経済の好循環」の実現が欠かせない。大企業の賃上げの流れを中小企業と非正規雇用にもつなげなければならない。

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