e被災者減など7指針

  • 2015.03.19
  • 情勢/国際

公明新聞:2015年3月19日(木)付




国連防災会議 初めて減災目標設定



仙台市で開かれている第3回国連防災世界会議は18日に最終日を迎え、2016年以降の国際的な防災指針を採択する。30年までに各国が取り組む防災対策を盛り込んだ新指針は「10万人当たりの災害による死者数や被災者数の削減」など七つの指標を設定。国連として初めて減災の目標を設け、達成に向けた取り組みを各国に求める。会議は5日間の日程を終えて閉幕する。



「仙台宣言」採択し閉幕へ



会議には、186カ国の代表が参加。最終日の18日は、防災分野の技術移転や気候変動問題への対応を指針にどう盛り込むかなどをめぐり、先進国と途上国の意見が一致せず、午前中に予定されていた採択は大幅にずれ込んでいる。


新指針は05年の前回会議(神戸市)で策定された10年間の防災指針「兵庫行動枠組」の後を継ぐもの。兵庫枠組みでは、各国の取り組みを検証する目標は設定されていなかった。


新指針は、過去10年間の災害犠牲者は70万人を超え、経済損失は1.3兆ドル以上に上ると指摘。効果的に人命や地域社会を守るための防災対策が重要とした。


減災目標では、災害による死者数や被災者数について「10万人当たりの平均値を20~30年の間に05~15年より減らす」ことを提示。経済損失、病院など重要インフラ施設の損害を実質的に減らすほか、途上国への国際協力、災害発生を予測する早期警戒システムの利用の拡大をうたった。


会議は同日、気候変動で増す災害発生リスクへの対応を強化する必要性などを訴える政治メッセージ「仙台宣言」も採択する。全ての政策に防災の観点を盛り込む「防災の主流化」や、防災分野における女性のリーダーシップの重要性などを打ち出す。


14日の閣僚級会合には政府を代表して太田昭宏国土交通相(公明党)が出席し、被災地を災害前より強いまちにする日本の取り組みをスピーチ。同日、仙台市内で行われた関連イベントには公明党の井上義久幹事長が、東日本大震災発災以来、公明議員が国と地方のネットワークで復興に尽力する様子を発表した。



"旅の力"で復興加速



被災地を千年に一度の学びの場へ 仙台市



国連防災世界会議の最終日となった18日、仙台市でパブリック・フォーラム「東北観光の課題と今後の方策」が開かれ、観光を通じた復興加速をテーマに活発な意見が交わされた。


東北地域環境研究室の志賀秀一代表が「観光は経済波及と豊かな国土づくりに結び付く」と基調講演。


次いで宮城大学の宮原育子教授の進行でパネルディスカッションが行われ、「震災学習ツアーを通し、現状を知り、住民と交流する機会を提供」(みちのりホールディングス・松本順代表取締役社長)、「東京五輪で世界から注目される今こそ戦略的な観光PRを」(JTB・加藤誠観光戦略部長)などの発言が相次いだ。


南三陸ホテル観洋の女将、阿部憲子さんは「千年に一度の災害は千年に一度の学びの場。自然災害が多発している中、私たちの記憶を世界の人に届けたい」と語っていた。

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