e国連防災会議閉幕 指針はできた、次は実行だ
- 2015.03.20
- 情勢/解説
公明新聞:2015年3月20日(金)付
向こう15年、世界が取り組むべき防災対策の方途は定まった。あとは実行あるのみだ。
仙台市で開かれていた第3回国連防災世界会議は最終日の18日、新たな防災政策の指針となる「仙台防災枠組」を採択して閉幕した。
当初予定から大きくずれ込み深夜の決着となったが、世界186カ国が最終的に一致して、前回2005年の神戸会議で採択された「兵庫行動枠組」の後継指針を採択した意義は大きい。災害に強い地球へ、各国は誠実に新指針の実践に取り組んでほしい。
新指針は、全ての開発政策に防災の観点を導入する「防災の主流化」や、被災前より強いまちづくりをめざす「ビルド・バック・ベター」(より良い復興)など、日本主導の考え方を基盤としている。
また、30年までの具体的な目標として、(1)災害死亡率(2)被災者数(3)経済損失―など7つの項目を設け、それぞれに評価指標も盛り込んだ。
ちなみに、国連が具体的な項目と期限を示して防災・減災目標を定めたのは初めてのこと。「各国が同一の目標で足並みを揃えた」(政府筋)ことで、国際社会の防災・減災対策は格段に強化された。
それにも増して特記すべきは、開催地が東日本大震災の被災地だったことだろう。
期間中、仙台を訪れた国内外の参加者は、当初見込んでいた4万人を大幅に上回り15万人にも達した。この間、NPOなどの主催で約350のパブリック・フォーラム(公式関連行事)が開かれ、毎日1万人以上が参加。政党として唯一、公明党もフォーラムを主催した。
公式・非公式の被災地ツアーも連日行われ、3.11の経験と教訓を外国人参加者にじかに感じ、学んでもらうこともできた。
年平均10万人もが災害の犠牲となっている現代世界にあって、「SENDAI」の名は今後、防災・減災の代名詞として国際社会に広く定着していくに違いない。
ただしその分、世界の防災・減災を先導する仙台の、否、日本の責任が一段と重くなったことを忘れてはなるまい。仙台会議の幕が閉じた今、災害対策による国際貢献が日本の重要な使命・役割となったことを自覚したい。