e日中韓外相会談 政治対話の継続で協調強化を
- 2015.03.24
- 情勢/解説
公明新聞:2015年3月24日(火)付
「戦後最悪」といわれるほど冷え込んだ日中、日韓の関係に改善の兆しが見え始めている。
日中韓3カ国の外相は21日、約3年ぶりにソウルで会談し、2国間関係の改善と3カ国協力の強化を進めていくことで一致。3カ国首脳会談の早期実現に向けて、努力することも確認した。3カ国の歴史認識や領土をめぐる対立は依然として根深いものの、前向きな合意がなされたことは大きな前進である。
もともと、日中韓3カ国は外相会談を2007年6月から、首脳会談を08年12月から、輪番で議長国を交代しながら毎年開いていた。
しかし、12年9月に当時の民主党政権が沖縄県の尖閣諸島を国有化してからの日中の対立、および12年8月に韓国の李明博大統領(当時)が島根県・竹島への上陸を強行したことなどに伴う日韓の対立により、外相会談、首脳会談ともに13年以降、開かれなくなっていた。
この長い外交上の空白を終わらせる契機となったのが、昨秋の日中首脳会談の実現であろう。公明党も山口那津男代表が13年1月に、当時の習近平・中国共産党総書記(現国家主席)と会談し、関係改善の重要性を訴えるなど、日中、日韓関係の正常化に尽力してきた。そうした努力が実を結びつつある。
日中両政府の外交・防衛担当幹部が安全保障政策について話し合う日中安保対話も19日、11年に北京で開催されて以来、4年ぶりに行われた。09年に開かれてから5年間行われていない日韓安保対話も、近く再開される見通しである。自民党の谷垣禎一、公明党の井上義久両幹事長も23日、09年から途絶えている「日中与党交流協議会」を再開させるため訪中した。
このように日中、日韓の関係改善に向けた動きが急速に活発化している。3カ国は政治対話を継続し、この動きを着実に協調関係の強化につなげていってもらいたい。
日中韓3カ国は、国内総生産(GDP)の合計が世界の約2割を占める。アジアおよび世界の平和と安定に大きな影響を与える国々であるといっても過言ではない。大局観に立った3カ国間関係の構築が求められる。