eドクターヘリ 急がれる災害時の運用ルール

  • 2015.03.27
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年3月27日(金)付




大規模災害が発生した場合、どうすればドクターヘリは効果的に活動できるのか。救急・災害医療の課題を探る厚生労働省の研究会が24日初会合を開き、災害時のドクターヘリの活用などの議論を開始した。厚労省は研究会の議論を基に今後、省内で対策の見直しを検討する。


ドクターヘリは、医師や看護師が同乗し、患者を治療しながら医療機関に搬送する救命救急の"切り札"だ。年間の出動件数は2013年度に2万件を超え、多くの人命救助に貢献している。


公明党の強力な推進によって、現在は36道府県で44機(東京都は独自に東京型ドクターヘリを運航)が配備されている。公明党が一つの目標としている「50機体制」の実現が射程圏内に入ってきた。


配備数が増えるにつれ、運用面の課題が見えてきた。


例えば、災害時の対応を定めた運航要領を策定した自治体もあるが、ほとんどが局地的な災害を想定したものである。都道府県の境を超える広域的な災害が発生した場合、的確に運航できるだろうか。


東日本大震災では、厚労省の災害派遣医療チーム(DMAT)事務局の出動要請によって、全国から被災地に16機が駆け付けた。しかし、所属する自治体からの許可を得るために予想以上に時間がかかり、結果的に出動できなかったドクターヘリもあったという。


また、多数のヘリが同時に展開する場合、運用や指揮に混乱が起こりやすい。東日本大震災の発生時には、ヘリを受け入れる側の調整がスムーズにいかなかったり、情報が正確に伝わらないケースもあった。


研究会では運用に関するルールの改善を求める声が上がった。国は積極的に自治体との調整役を担い、ルールづくりを急ぐべきである。


一方、ドクターヘリが遠くの被災地へ長期間にわたって出動すれば、その自治体では救急医療体制が手薄になる。ドクターヘリが不在の間、防災ヘリが代わりの役割を果たしたり、隣接する自治体のドクターヘリに協力を仰ぐ体制を確立できないだろうか。


大規模災害に備えた連携強化のあり方など、幅広い検討を研究会に期待する。

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