eふるさと納税の拡充 寄付通し地方の振興を応援

  • 2015.04.09
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年4月9日(木)付




「1万円の寄付でお米20キロ」「お礼にノートパソコン」など、ふるさと納税の「返礼品」が大きな話題になっている。


ふるさと納税は自らの出身地にかかわりなく、居住地以外の都道府県や市区町村など応援したい地方自治体に寄付し、税金が控除される制度である。福祉や防災、自然保護など、寄付金の使い道を選択できる場合も多く、地域振興にかかわることができる。


2008年度から実質的にスタートしたこの制度では、寄付額のうち、2000円を超える分が、個人住民税の約1割を上限に、自分が住む自治体に支払う所得税、個人住民税から差し引かれる。多くの自治体が、寄付した人に対して、地元の名産などを返礼品として贈呈していることもあって人気が高まり、総務省によると、09年度は約3万人が73億円を寄付。14年度には13万人が142億円を寄付するまでに増加した。


地方創生への政策が加速する中で、今年から、ふるさと納税の上限金額が従来の2倍に拡大。総務省が公表した新たな上限の目安では、妻に収入がなく、高校生の子どもが1人いる年収600万円の会社員の場合、14年までの3万5000円から、6万8000円に上がった。


また、手続きも簡素化された。ふるさと納税の控除を受けるには、そのためだけに確定申告が必要だったが、自営業者ら、もともと確定申告が必要な場合を除き、不要になった。


返礼品ばかりが注目され、大都市での税収減を心配する声もあるが、税制の分野に、都市住民がふるさとや地方に思いをめぐらす制度が組み入れられた意義は当初から評価されている。公明党は、国会審議などを通して、大都市に集中する税収が地方に回るような「ふるさと税制」を創設するよう提唱(05年3月、参院総務委員会)してきた。


自治体が競い合い、地方分権が進む時代にあって、自治体がそれぞれの特色をアピールする機会が増えている。


移住や定住など都市住民と地方の「交流」が議論されているなか、ふるさと納税が、地域の資源を生かし、地方の「人づくり」「仕事づくり」につながることが期待されている。

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