eポスト集中復興期間 「寄り添う」覚悟、まず確認を
- 2015.04.15
- 情勢/解説
公明新聞:2015年4月15日(水)付
復興はなお道半ばである。まずは、寄り添い続けるとの覚悟を改めて固めることだ。
東日本大震災から5年目、復興事業を全額国費負担で進めてきた「集中復興期間」(2011年度~)が今年度で終わるのを受け、政府が新たな復興支援の枠組みづくりに乗り出した。
安倍首相は「被災地の声に耳を傾け、丁寧に検討する」として、夏までに策定する方針を明らかにしている。その言やよし、徹して被災者目線に立った検討を求めたい。
焦点は負担のあり方、すなわち財源だろう。
これまでのところ、政府は16年度からの5年間を「後期復興期間」(仮称)と位置付け、この間に必要な復興予算を約6兆円とはじいている。その上で、「市町村も県も自立してもらわねばならない」(竹下復興相)として、地元負担を求める可能性も示唆している。
これに対し、岩手、宮城、福島の被災3県が見積もる予算規模は8兆円超。地元知事・市町村長らは、人口流出や地場産業の壊滅的な打撃などで税収が激減したことなどを理由に「(地元負担ゼロの)集中復興期間の延長」を一様に求めている。国との"開き"は大きい。
幸い、時間は十分にある。首相が言うように、ここは丁寧な検討が必要だ。政府も地元自治体も「予算額ありき」で結論を急ぐべきではない。
時間をかけて検討すべき課題として大きく2点、提示しておきたい。
第1に、過去の事業をしっかりと精査すること。無駄遣いはないか、復興の名を借りた他事業への「流用」はなくなったか、住民のニーズに沿っているか。一つ一つ点検し、実効性ある「納得の支援枠組み」を導いてほしい。
第2には、事業の優先度にもっとメリハリを付けることだ。集中期間の最終年度を迎え、インフラ整備に一定のメドがつくなど復興事業そのものが大きな岐路に立っている。生活再建や生業復活、心のケアなどソフト重視の復興へ大胆に転換を図るときだ。
地域・個人間で広がる一方の復興格差への対策も含め、いよいよこれからが「人間の復興」へ向けた正念場であることを強調しておきたい。