e夜間中学で"学び直し"

  • 2015.04.30
  • 情勢/社会
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公明新聞:2015年4月29日(水)付



教育機会均等へ一歩

15年度 全県設置に向け予算化



さまざまな事情で義務教育を修了できなかった人が通う夜間中学。現在は1都2府5県に31校が設置され、1879人(2013年5月時点)が通う。


義務教育の学習機会を充実させる観点から夜間中学について文部科学省は昨年、全都道府県に最低1校以上設ける方針を打ち出し、2015年度予算には夜間中学拡充へ向けた予算が盛り込まれた。公明党が、かねてから教育機会均等のために主張していた夜間中学支援が大きく前進することとなる。


夜間中学の歴史は古い。戦後の混乱期、貧困のために学校へ行けず長期欠席する児童・生徒も多くいたことから中学校に付設され、1950年代には設置校数は全国で80校以上を数えた。その後、社会が安定し、中学卒業者の増加に伴って設置校数は減少したが、近年、外国から帰国した子どもの日本語教育、ひきこもりや不登校の増加などを背景に、再び注目を浴びている。


現在、夜間中学に在籍している生徒の約76%は外国人。小学校を卒業していない15歳以上の人は全国に約12万8000人(2010年国勢調査)いるが、義務教育未修了者の実数は詳細には把握されていない。


15年度予算には、こうした夜間中学の潜在的なニーズを掘り起こすための広報強化策が講じられる。


また、全都道府県への設置に向け、課題研究の検討会議を設置する予算や先進事例の研究予算も盛り込まれた。


一方、夜間中学入学要件の課題もある。3月の国会質問で公明党の国重徹衆院議員は、「中学にほとんど通えず学校側の配慮で形式的に卒業する人がいる。この"形式卒業者"が大人になって、中学での学び直しを希望した場合にも夜間中学への入学を許可すべき」と主張。下村博文文科相は「早急に検討する」と前向きな対応を約した。


夜間中学の教員らでつくる全国夜間中学校研究会の須田登美雄副会長は、夜間中学の全都道府県設置について、「入学しても金銭的な事情などで通いきれない人もいる。教材費などへの就学援助を含め、支援体制の確立が重要。基礎学力を強化するための仕組みやボランティアで行われている自主夜間中学への支援などにも取り組むべきだ」と語る。


公明党は、夜間中学関係者と連携しながら一貫して支援強化を推進。昨年7月には富田茂之衆院議員の強い主張で、政府の教育再生実行会議の提言に「夜間中学の設置を促進する」と明記。同10月には浮島智子衆院議員が国会質問で夜間中学の全都道府県設置を訴え、文科相から具体的に進める旨の答弁を引き出していた。

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