eネパール大地震 日本の防災・医療技術を生かせ
- 2015.05.07
- 情勢/解説
公明新聞:2015年5月2日(土)付
ネパール中部で発生した大地震は、日を追うにつれて死傷者が急増している。なんとも痛ましい地震災害である。
公明党は地震発生の翌々日、山口那津男代表らが東京都内のネパール大使館を訪れ、党からの見舞金を手渡し、さらに市民団体などが実施中の街頭募金活動にも協力。党の支援対策本部で今後の対応策を協議している。
被害が甚大なのは、震源に近いネパールの首都カトマンズである。多くの建物が崩れ、住民が生き埋めになっている。道路は各所で寸断され、救助活動を阻んでいる。必要な医療支援が追いつかず、水や食料も十分に行き渡っていない。
現地では余震を恐れて多くの被災者が屋外に張ったテントの中で過ごすなど、厳しい避難生活を強いられている。断続的に降る雨や、昼夜の寒暖差によって、高齢者や子どもを中心に体調を崩す人たちが出始めたという。被災者が身を寄せる避難所の大半にトイレはなく、手を洗う水も不足しているため、感染症の発生を懸念する声が挙がっている。国際社会は現地との連携を密にして、現場ニーズに応える支援の迅速化と強化を急ぐ必要がある。
観光以外に主要産業がないネパールは、財政基盤が脆弱なこともあって対策が遅れている。まずは一人でも多くの人の救出に全力を挙げるべきだが、その後は息の長い復旧・復興への支援が欠かせない。3月に仙台市で開かれた国連防災世界会議で、災害への備えができていない途上国に対し、国際社会が財政面や技術移転、人材育成などの支援を進める「仙台防災枠組」が採択された。今回の大地震では、まさにその実効性が問われている。
世界有数の地震大国である日本は幾度もの震災を乗り越えた経験があり、防災の知恵や技術を最も蓄積している国の一つである。災害医療の分野でも、災害派遣医療チーム(DMAT)などを築いてきた知見を役立て、幅広い貢献ができることは間違いない。
東日本大震災の際、日本はネパールも含め、国際社会から多大な支援を受けた。日本の技術や経験を生かしてネパールの被災者の支援を進めていきたい。