e途上国の教育支援 目標達成へ日本が主導したい
- 2015.05.07
- 情勢/解説
公明新聞:2015年5月5日(火)付
劣悪な労働環境の工場で強制的に働かされる子どもたち。戦争に駆り出される少年兵。児童婚を強いられる少女たち。パキスタン人のマララ・ユスフザイさんは、そうした子どもたちの教育を受ける権利を求めて活動している。昨年、17歳で史上最年少となるノーベル平和賞を受賞した。
同賞の受賞演説で、マララさんは「学校に行けない子どもたちがいる時代を、私たちが終わらせなければならない」と力強く訴えた。この言葉を、今一度、思い出したい。
なぜなら、今年は、国際社会が掲げている「万人のための教育(EFA)」目標の達成期限だからである。
この目標は、2015年までに世界中の全ての子どもたちが、無償で質の高い初等義務教育を受けられるようにするものだ。国連教育科学文化機関(ユネスコ)や国連児童基金(ユニセフ)などが、00年に共催した国際会議での合意に基づいている。
目標を達成するため、先進国は開発途上国の中でも低所得で貧しいとされている後発開発途上国を支援。初等教育を実施するための環境整備に必要な資金提供などを行っている。
日本も、11~15年の5年間で2500万人の子どもたちが教育を受けられるようにするため、35億ドル(約4200億円)の資金的支援を実施。紛争や災害などの影響を受けた国の教育環境を整備するための支援などを進めている。
こうした努力は着実に成果を上げている。ユネスコが4月に発表したEFA目標の進ちょく状況に関する報告書によると、アフリカの中でも発展が遅れているサハラ砂漠以南(サブサハラ)の11カ国における子どもたちの初等教育就学率は、1999年に59%であったが、2012年には79%に増加したと評価している。
一方で、同報告書は、「学校に通えていない子どもたちがいまだに5800万人いる」と指摘し、現状を深刻視。国際社会は取り組みを一段と加速しなければならない。
特に、子どもたちの初等教育に力を入れ、ほぼ100%の識字率を実現している日本への期待は高い。EFA目標の達成を日本がリードしていくべきである。