e「見える化」で年金財政に貢献

  • 2015.05.07
  • 情勢/社会
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公明新聞:2015年5月6日(水)付



硬直的な積立金の運用を効率化

効果額は年間10億円
竹谷とし子参院議員に聞く




4月24日の参院本会議で、厚生労働省所管の独立行政法人の改革を推進する法律が、自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。同法には年金積立金の運用の効率化を進める内容が含まれている。年金資金の効率的な運用を強く主張してきた公明党の竹谷とし子参院議員に、そのポイントや「財政の見える化」の取り組みを聞いた。



民間の常識を政府でも実践



―効率化のポイントは。


竹谷とし子参院議員 資金の運用を短期から長期に見直したことです。厚労省所管の独立行政法人「福祉医療機構」は2005年まで、年金積立金の中から加入者に対して住宅ローン融資を行っていました。現在、毎月返済された資金を同機構から年に1回、まとめて年金積立金に返納しています。


ただ、返済された資金は最長で1年3カ月も機構の手元に残り、その間は利回りの低い短期資金として運用されています。この年金積立金への返納を年1回から複数回にするよう、民主党政権時代に委員会質疑で提案したのです。


―返納を複数回にすることのメリット(利点)は何か。


竹谷 より高い利回りで運用できる長期資金が増えることです。例えば12年度に機構が回収した資金(元本部分)は総額2150億円にも上ります。これだけの資金を1年超も手元にとどめておくのではなく、早く年金積立金に戻せば、より多くの資金で利回りの高い長期運用ができるようになり、その分、年金財政にプラスになります。4月1日の衆院厚労委員会で山本香苗厚労副大臣(公明党)は、仮に年4回、年金積立金に返納した場合、年金財政への効果額は約10億円との試算を示しています。


―国の財政が厳しい中、財源を生み出す工夫も必要だ。


竹谷 今回の提案は「見える化」された福祉医療機構の財務書類を分析する中で浮かび上がったものです。借金はなるべく減らしながら、資産運用で手元にある資金を大きくするという、民間では既に行われている手法です。民間の"当たり前"を政府も当たり前に行わなければなりません。


政府は「持続可能な社会保障」を掲げていますが、財源は不足していて借金で賄っている状態が恒常的に続いています。社会保障制度を将来に引き継いでいくためにも、限られた予算を、どう使うかだけではなく、必要な財源をどう手当てするのかも常にセットで考える必要があります。


―初当選以来、「財政の見える化」に取り組んでいるが。


竹谷 自公政権となってすぐに、国債の利払い費を年間700億円超削減できました。今回の見直しでも、新しいことをやりたがらない行政の「前例主義」を覆し、国民からお預かりしている税金や保険料を効率的に運用し、より大切に使うという業務改善を実現することができました。見える化された財政情報で、業務改善に活用される一例を示すことができたと思います。


このような取り組みは、国だけでなく地方でも大きな前進が始まっています。今年1月、公明党の主張を受けて、総務相が地方自治体に対し、今後3年間で財政の「見える化」を進め、民間企業のような会計制度に改めるよう通知を出しました。


公明党は地道な調査結果に基づいて解決策を提示する課題解決型の政党です。また、地方議員と共に取り組めるのも公明党ならではです。これからも地道にこうした改革を積み重ねていきたいと思います。

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