e訪日観光客を地方へ

  • 2015.05.08
  • 情勢/国際

公明新聞:2015年5月8日(金)付



魅力発信の好機到来



日本を昨年訪れた外国人数は年間1341万人と過去最多を更新し、訪日外国人旅行消費額も過去最高の2兆278億円に上った。今年に入っても3月に単月で初めて150万人を突破するなど好調を維持している。しかし、東京や大阪、京都などを訪問先とする「ゴールデンルート」が中心。公明党は、地方創生の"起爆剤"にするため、地域の魅力を掘り起こし、外国人観光客を地方へ呼び込む取り組みを後押ししていく。



免税店拡大やルート形成で"一極集中"克服を推進



日本への外国人観光客が増加している背景には、円安による日本旅行の割安感に加え、自公政権が観光立国の実現を掲げ、2020年までに2000万人達成をめざしてビザ発給要件の緩和、消費税免税対象品目の拡充などを実施したことがある。


4月12日には太田昭宏国土交通相(公明党)が、中国、韓国の両観光担当相と4年ぶりに会談。20年に開催される東京五輪・パラリンピックを視野に、3国間の人的交流を20年に3000万人まで拡大することや、東アジアをパッケージ化して欧米などの地域へPRしていくことなどで合意した。


中国人観光客による"爆買い"が話題になるなど、外国人観光客が順調に増加の一途をたどる中、課題は訪問先の"一極集中"だ。観光庁調査(14年)によると、訪日外国人の51.4%が東京都、27.9%が大阪府、21.9%が京都府を訪ねた一方、その他の自治体を訪問した外国人は、千葉県と神奈川県を除いて1割未満だった。


これに対し、東京、大阪、京都以外にも訪問先を広げるため、政府は地方への誘客を促す政策に着手。その一つが、4月1日から始まった新たな免税店制度だ。新制度では、三大都市圏に集中している免税店を地方に拡大することを目的に、商店街などへの一括カウンターの設置を可能にした。免税手続きを第三者に委託することで、多くの店舗が免税店許可を取得しやすくなるほか、外国人旅行客も店舗を超えて購入金額を合算し、まとめて手続きできるようにした。


このほか、旅先でインターネットに接続できる公衆無線LANの整備や、「ゴールデンルート」以外の周遊ルート形成などを推進していく。


一方、外国人観光客を地方に呼び込むには、地元の知恵と工夫が欠かせない。例えば、昨年の外国人宿泊者数が28万人に上った岐阜県高山市では、古い町並みや奥飛騨温泉郷などの観光資源を生かすため、1996年から公式観光サイトの多言語化を進め、現在では11カ国語に対応している。


また、2009年から石川県金沢市、長野県松本市、岐阜県白川村と共同でPR活動を展開。松本市から高山市を経て、金沢市に抜ける周遊ルートが、欧州の旅行会社によって「サムライルート」として認知されるようになった。高山市海外戦略室は、「一つの自治体だけで頑張る必要はない。広域的な地域全体の付加価値を高めることが重要」と指摘する。


このほか同市では、友好都市である中国雲南省麗江市の自治体職員の受け入れを04年からスタート。帰国する中国の自治体職員を「親善交流大使」に任命しており、今後も交流の深化を図っていく方針だ。


こうした"地域発"の知恵と工夫をバックアップするため、政府は地域連携による観光地づくりを支援する「広域観光周遊ルート形成促進事業」や、受け入れ環境整備などに掛かる費用を助成する「地域資源を活用した観光地魅力創造事業」を進めている。公明党としても、オールジャパンで地方の魅力を世界に発信する取り組みを通じ、地方創生をけん引していく。



「おもてなし」世界一 観光競争力調査

総合でもトップ10入り



【ロンドン時事】世界経済フォーラム(WEF)が6日発表した2015年の「旅行・観光競争力指数」によると、日本は世界で総合9位と、前回13年の調査の14位から順位を上げ、トップ10入りを果たした。項目別では「顧客の接遇」が世界一となり、日本の「おもてなし」の心が高く評価された。


日本はこの他の項目でも、「鉄道インフラの質」が1位、「従業員トレーニング」と「無形文化財の数」がともに2位、「大規模スポーツ競技場の数」が4位と上位に入り、順位押し上げに貢献した。


一方、空港関係費用は82位、燃料価格は126位など、価格競争力では劣勢だった。


総合順位の1位はスペイン、2位フランス、3位ドイツと、トップ10のうち欧州勢が6カ国を占めた。

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