eコラム「北斗七星」
- 2015.05.13
- 情勢/社会
公明新聞:2015年5月13日(水)付
代表的な二大政党制の国、イギリスで長年「第三極」の座にあった自民党だが、今回の総選挙ではわずか8議席と、前回(2010年)の57議席から激減した。得票数に対して、ゆがんだ議席配分をもたらす小選挙区制の"被害"を受けたとはいえ、5年間の保守党との連立で失ったものは大きかった◆自民党は、小選挙区制の廃止に期待して政権入りした。だが、小選挙区制の維持を譲らない保守党との対立は激化し、11年5月の制度変更を問う国民投票では、キャメロン首相率いる保守党の大々的なキャンペーンもあって完敗。同時に行われた統一地方選挙でも大きく後退した◆野党時代の自民党は、経済的弱者を重視する政策に定評があったが、内閣が進める歳出削減路線に同調した。期待された保守党の「ブレーキ役」を果たさなかったことも支持を失う要因となった◆保守、自民両党の連立は、「基本的には両党のほぼ院内政党上層部限定の現象であった」(渡邉容一郎・日大教授「イギリス政治の変容と自由民主党の現在」)といわれる。連立は党員や活動家の行動に及ぶことはなかったのである◆地域政党の台頭など、多くの先進国で多党化が進み、連立政権は定着している。さまざまな教訓に学びながら、国民生活に前進をもたらす連立政治をめざしたい。(山)