e太平洋・島サミット 防災分野で日本の貢献さらに
- 2015.05.13
- 情勢/解説
公明新聞:2015年5月13日(水)付
太平洋の島しょ国など17カ国・地域の首脳らが集う「第7回太平洋・島サミット」が、福島県いわき市で22、23両日に開催される。
サミットでは、経済交流や環境・気候変動、海洋問題など、さまざまな課題が話し合われる見通しである。日本と各国・地域との協力関係を一段と強めていく協議を期待したい。
議題の一つとして注目されているのが、防災分野での協力だ。太平洋の島々は近年、気候変動の影響により自然災害が多発する傾向にある。3月に超大型サイクロンに襲われたバヌアツで、人口の7割弱に当たる16万6000人が被災したことは記憶に新しい。
日本は、同じ島国として東日本大震災をはじめ数多くの地震や台風災害を経験している。その教訓と技術を生かした貢献を積極的に進めていくべきである。
気象観測や災害の予報・警報システムなど、日本が培ってきた技術には定評がある。インフラ(社会的基盤)の耐震化や老朽化対策でも日本がリードできる分野は多い。政府は効果的な支援策を探ってもらいたい。
各国・地域との人材の交流を活発化させることも重要である。
太平洋の島しょ国・地域の中には、戦前に日本が委任統治していたところもあり、親日的な感情が強く、日本との長年にわたる友好関係の支えとなってきた。しかし、近年は、その親日世代が高齢化しており、若い世代に親日派・知日派の人材を育て広げる働き掛けが欠かせない。
具体策として、将来が有望視される行政官を日本に招いて研修を支援したり、日本への留学生枠を設けることなどを検討するべきだ。
一方、サミット会場となる、いわき市と福島県は、外務省と協議しながら、首脳らが被災地を視察したり、県産食材を使った歓迎会などを計画している。
いまだに世界では、東京電力福島第1原発事故に伴う被災地への風評被害が根強い。被災地の復興を国際的にアピールすると同時に、科学的に正しいデータを提示するなど、風評を解消する機会としていきたい。