e派遣労働者の雇用安定へ
- 2015.05.13
- 政治/国会
公明新聞:2015年5月13日(水)付
正社員化の希望実現を
改正案が審議入り "生涯ハケン"当たらず
衆院本会議で伊佐氏
労働者派遣制度【※参照】を見直し、派遣労働者の雇用安定やキャリア形成支援を強化することなどを柱とする労働者派遣法改正案が12日、衆院本会議で審議入りし、公明党の伊佐進一氏が質問に立った。
改正案は、派遣元(派遣会社)に派遣労働者の雇用安定や教育訓練の実施などを義務付けるもの。また、派遣受け入れの期間制限がない「専門26業務」の区分を撤廃し、同じ派遣労働者が派遣先の同じ職場で働ける期間を全ての業務で上限3年とする「個人単位の期間制限」などを設ける。
伊佐氏は、改正案について「派遣労働者が正社員を望むならその道を開き、派遣労働を選択するのであれば、労働者としての権利を守られるようにするもの」だと力説。派遣事業が全て許可制となり、厳格化される点も評価した。
改正案を"生涯ハケン"につながるとする批判には、派遣労働者が有期雇用を繰り返し、不安定な状態に固定されている現状こそ「"生涯ハケン"に当たる」と指摘。その上で改正案が、有期の派遣労働からより安定した無期雇用に転換するという段階も含めて、正社員化をめざしているものであるかを確認した。
塩崎恭久厚生労働相は、「指摘の通り」だと述べ、改正案では「正社員化へのステップとして派遣労働者の無期雇用化を進めるため、無期雇用派遣を(派遣労働受け入れの)期間制限の例外とする」と説明した。
また、個人単位の期間制限について伊佐氏は「派遣労働者『個人』の固定化を避けるために一歩進んだもの」だと強調。改正案で派遣労働が「臨時的かつ一時的」な働き方であることが明確化された点も確認した。
さらに伊佐氏は、公明党の要請で法案の付則に「均等・均衡待遇」のあり方を検討するために調査研究などの措置を講じるとの規定が盛り込まれたことに関して、同一労働に対し同一賃金を保障する「均等待遇」が、めざすべき雇用の形だと主張した。安倍晋三首相は「均等待遇の原則が適用されている諸外国の制度や運用状況などに対し、調査研究に取り組んでいく」と答えた。
ポイント
○ 派遣事業を全て許可制にして厳格化
○ 期間制限で派遣労働の固定化を防止
○ 26業務なくし分かりやすいルールに
○ 雇用安定措置など派遣元に義務付け
○ 派遣労働は「臨時的」な働き方と明記
○ 均等・均衡待遇について調査研究も
※ 労働者派遣制度 通常、労働者は雇用関係にある会社の指揮命令の下で仕事をし、賃金を受け取る。一方、派遣労働者は派遣元(派遣会社)に雇用されて賃金を受け取るが、指揮命令を受けるのは、派遣元と契約を結んだ派遣先の会社になる。