e農協法等改正案 稲津氏の質疑(要旨)
- 2015.05.15
- 政治/国会
公明新聞:2015年5月15日(金)付
監査移行への懸念なくせ
首相 「負担増えないよう配慮」
14日の衆院本会議で行われた、農業協同組合法(農協法)等改正案に関する稲津久氏の質問と答弁の要旨は次の通り。
【農業の成長産業化や農家所得の向上】
稲津久氏 改正法案は、どのように農業の成長産業化や農家所得の向上に資するのか。
安倍晋三首相 農協、農業委員会、農業生産法人の三つの改革を一体的に行い、特に農協改革については、農協システム全体を見直す。意欲ある担い手と地域農協が力を合わせて創意工夫を発揮し、企業と連携した加工品の開発や地域ブランドの確立など、自由な経済活動を行うことにより農業者の所得向上に全力投球できるようにする。
【農協が地域で果たす役割】
稲津 農協の役割は、農業生産力や農家所得の向上であることは当然として、農村の暮らし・環境・食料など、消費者や地域住民とも密接だ。地域のライフラインを担い、豊かに暮らせる地域社会の実現に貢献している。こうした役割をどう認識するか。
首相 農協は、助け合いの理念の下に設立された。実際、地域のインフラとしての側面もある。法案では、組合員以外の住民にもサービスを提供する上で必要な場合、農協の選択により組織の一部を株式会社などに転換できるようにした。
【准組合員の事業利用】
稲津 准組合員の事業利用(の規制のあり方)について、今後一定のルールを導入することは必要としても、現実に即した方向性が不可欠ではないか。地域農協や准組合員の意見・ニーズを反映しながら時間をかけて検討すべきだ。
首相 法案では、准組合員の利用規制について5年間、正組合員と准組員の利用量や地域におけるサービスの状況を把握し、現場の実態を踏まえ、今回の農協改革の成果も見極めた上で結論を得るとしている。
【法施行後の監査】
稲津 (JA全中による地域農協への監査権限を廃止した)今回の改正後、経営の詳細、アドバイスなどのいわゆる業務監査は誰が担うのか。また、監査費用も含め農協の負担が増すのではないかといった懸念にどう答えるのか。
首相 会計監査以外の業務監査については、一般企業などと同様に任意となり、必要な場合には地域農協がニーズに応じて自由に選ぶことになる。公認会計士による会計監査への移行に当たっては、地域農協の実質的な負担が増加しないよう、適切な配慮をする。
【農業委員会の建議】
稲津 農業委員会制度に基づく建議(市町村長などへの意見申し立て)は、主要な農業政策の確立に重要な役割を果たしてきた。改正法案では、建議を規定しない一方で、具体的な意見を提案しなければならないとしているが、この変更が農業委員会の活動へどう影響するのか。
首相 農業委員の選出を公選制から(議会の同意を得て)市町村長の選任制に改め、地域の担い手がリードして耕作放棄地の解消、農地の集積を加速することにした。その際、農業委員会が農地利用の最適化に集中できるよう建議を法定義務から削除している。
また、農業委員会が必要と考える場合は、具体的な改善意見を提出しなければならないとした。これらにより、若者が情熱や能力によって新しい地平を切り開いていけるようにしたい。