e厚生年金の未加入企業 きめ細かな相談と効果的対策を

  • 2015.05.18
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年5月18日(月)付




厚生年金への加入義務のある企業が、未加入のまま保険料を納めていない事態を改善する動きが出てきた。


日本年金機構が、従業員に代わって所得税を納税している企業(約250万社)のデータを国税庁から初めて入手して調べたところ、厚生年金の未加入企業は約80万社に上ると推定された。


そこで、厚生労働省と同機構は、今年度から3年間かけて対象企業に加入への周知を徹底するほか、調査活動や指導を行っていく。保険料の負担能力があるにもかかわらず、加入に消極的な姿勢を取る企業などには、強制加入を求める方針だという。


厚生年金は、全ての企業(法人事業所)と従業員5人以上の個人事業所が加入しなければならない。労使が折半して保険料を納めるが、経営体力の弱い中小零細企業の中には、保険料負担を避けるために加入していない企業も少なくない。当初は従業員が1人だった個人事業所が、従業員の増加に伴う年金加入の必要性に気付かずに長年放置しているケースもある。給与から天引きした保険料を国に納めていない可能性もあり、未加入の事情はさまざまだ。


この問題を放置しておくと、未加入企業の従業員は将来、無年金になってしまう。無年金を避けるために、自主的に国民年金に加入している人もいるだろうが、厚生年金に加入する場合に比べ、将来受け取る年金額は大幅に少なくなるので、老後の生活を支える資金としては心もとない。


未加入企業の中には加入する意思があっても、経営が立ちゆかなくならないか心配する経営者もいる。厚労省は、相談に応じながら納付計画の策定には積極的に協力していく考えだという。企業の置かれた状況をしっかり踏まえて、きめ細かく相談に応じてもらいたい。


民主党政権時代にも、この問題の解決に乗り出したが、成功していない。同じ過ちを繰り返さないために、十分な時間をかけて、効果的な対応策を探ってほしい。


現場の調査や相談・指導に必要なマンパワーは多数に上るだろう。政府は適切な人員の確保と配置で、今度こそ事態を改善してもらいたい。

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