e命守るがん対策さらに
- 2015.05.21
- 情勢/社会
公明新聞:2015年5月21日(木)付
国の基本計画で推進協が中間評価
検診(個別勧奨)、緩和ケア重要
「患者調査」 約9割が治療に納得
死亡率20%減など困難 公明、目標達成へ総力
厚生労働省のがん対策推進協議会は20日、2012年6月に閣議決定された第2期がん対策推進基本計画(17年6月までの5年間)に盛り込まれた個別目標を中間評価する報告書の取りまとめに向けた最終的な議論を行った。公明党の提案で中間報告が行われ、今後の課題を浮き彫りにする。報告書は6月に取りまとめられる予定。
同計画は、公明党主導で06年6月に成立したがん対策基本法に基づき策定されたもので、第1期計画では07年度から10年間の目標として、75歳未満のがん死亡率20%減、患者・家族の苦痛軽減と療養生活の質の向上を掲げた。
また、重点課題に(1)放射線療法・化学療法(抗がん剤治療)の推進と専門医の育成(2)がんと診断された時からの緩和ケアの実施(3)がん登録の推進―を列挙。その上で12年の第2期計画では、「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」を目標に、「働く世代や小児へのがん対策の充実」を個別目標として追加した。
中間評価に当たり厚労省の研究班は、全国約1万4000人のがん患者に体験調査票を送付。返信があった7786通のうち、無効票を除く約7400通を解析した。
それによると、適切な医療の提供によって、自分らしい日常生活が送れていると感じている患者は77.7%に上り、88.1%の人がこれまで受けた治療に納得していると答えた。また、患者の家族の悩みを和らげてくれる支援が十分と感じている人は37.1%にとどまるなど、家族にも寄り添う支援が求められている点も浮かび上がった【グラフ参照】。一方で、がん対策の最大の目標である「がんの死亡率20%減少」の達成が困難な状況だとも指摘された。
このほか第2期計画では、22年までに成人喫煙率を12%とする目標を掲げたが、中間評価では喫煙率の減少傾向が鈍化していることが判明。禁煙に導くための環境整備を一層進めるほか、職場や飲食店などでの受動喫煙防止対策を推進すべきとした。
がん検診の受診率は、公明党が推進した無料クーポンの配布などで一定の効果は得たが、「受診率50%」の目標達成へ、個別受診勧奨(コール・リコール)を実施できる体制整備も重要だと指摘した。がん患者の就労支援については、働く世代の対策を着実に充実させる必要性を強調。また、緩和ケアの推進に向けて、拠点病院以外の医療機関や在宅医療などでも提供できる体制構築のあり方を検討すべきだと明記した。
東京五輪へ受動喫煙対策を強化
中間評価の概要については19日、衆院第1議員会館で開かれた公明党がん対策推進本部の会合で、国立がん研究センター「がん対策情報センター」の若尾文彦センター長らが説明した。
同本部長の古屋範子副代表は、基本計画の目標達成へ党を挙げて取り組むと強調し、過去の五輪開催都市で受動喫煙防止対策が強化されたことに言及。「20年の東京五輪・パラリンピックを控え、受動喫煙防止に向けてアクションを起こしたい」と述べた。