eQ&A 農協法改正
- 2015.05.22
- 情勢/解説
公明新聞:2015年5月22日(金)付
農業の成長産業化へ
組織の自主性引き出す
農業の成長産業化や農家所得の向上をめざし、農業協同組合(農協)、農業委員会、農業生産法人の3組織の改革を一体的に進める農業改革関連法案が衆院農林水産委員会で審議中です。このうち、大きな争点である農協法改正案のポイントをQ&A方式でまとめました。
Q 農協法を改正し、農協をどう改革するのか。
A 全国の約700の地域農協(単位農協)が自主性を存分に発揮し、農業の成長産業化と農家所得の向上に取り組める体制をつくることが目的です。安倍晋三首相は「農協システム全体を見直し、意欲ある担い手と地域農協が力を合わせ、自由な経済活動を行うことにより、農業者の所得向上に全力投球できるようにしていく」と述べています。政府提出の農協法改正案では、地域農協を束ねる全国農業協同組合中央会(JA全中)の権限を緩和することが大きな柱です。
Q 具体的に何を変えるのか。
A JA全中の一般社団法人化と、監査権限の廃止が大きな柱です。2019年9月末までに、農協法上の特別な組織であるJA全中を経団連などと同じ「一般社団法人」に転換します。さらに、JA全中が地域農協に対して一律に実施している監査を廃止し、公認会計士による監査に移行させます。これにより地域農協の監査は、JA全中から切り離して設立される監査法人か、一般の監査法人を含め、自由に選択できるようになります。
Q 農業の成長産業化にどう関係するのか。
A 政府与党は農業を成長産業と位置付け、組織の改革にとどまらず、農地集積バンク(農地中間管理機構)、農産物輸出、6次産業化などの政策を推進しています。農協改革で地域農協が地域の特性を生かして創意工夫を凝らせる環境が整えば、企業と連携した加工品開発や地域ブランドの確立など自由な経済活動が促され、「成長産業化の道筋が見えてくる」(林芳正農水相)としています。
Q 公明党の考えは。
A 農協は農村地域の公共的組織として、正会員である農業者だけでなく、地域住民にも必要なサービスを提供し、地域社会に貢献してきました。公明党は、その役割を高く評価した上で、現場の実態に即した農協の自己改革を尊重する考えを改正案に反映。具体的には、JA全中が一般社団法人に円滑に移行できるよう、移行期間を半年間延長。農家以外の「准組合員」の事業利用量を規制する政府の方針に対しては慎重な姿勢を示し、利用実態を5年間調査した上で結論を得ることとしました。